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自分が社会に出たころにはまだバブルの残り香が街のそこここにあった。

たしかに夜な夜なドンペリでシャンパンタワーをしたり、味噌ラーメンを食べにホステスと札幌に出かけたりといった馬鹿話は聞かなくなった。

それでもいい服を着て高級車に乗り、週末にはこじゃれたフレンチやイタリアンに飯を食いに行ったりする若い奴はそこそこ残っていた。

 

ただ、自分も含めてその多くはそうしたおしゃれな店に行き慣れているわけではなく(金が続くわけがない)、当時も読み継がれていたホイチョイの「見栄講座」なんかを読んで事前学習してからお店に行ったりした。

しかし、事前学習をしても緊張したのはフレンチで料理をオーダーするとき。

 

メニューに書いてあることがよく分からないうえ、運が悪いと満面の笑みを浮かべたソムリエがワインリストを抱えて出てきたりする。

いかに安いワインをそれらしく頼むのか(自分は安いからこのワインを注文しているのではなく、料理との相性や自分の好みで頼んでいる、という孤独の演技。ただしソムリエにはそうしたちんけな魂胆はとっくに見破られている。)でヘトヘトになった。

 

当時は食べログのようなサイトなどなく、せいぜい「ぴあ」などの情報誌で情報を仕入れるのが関の山。

カードが使えない店も少なくなく、ワインリストが出てくる店ではいつも財布の中身が気になった。

 

 

さて、今回行きつけの松屋四条烏丸店で食べてきたのは「オマール海老ソースのチキンフリカッセ」。

「オマール海老」も「フリカッセ」もその当時飯を食べに行った店で散見された名称である。

散見はされたが、ワインと並び伊勢海老やオマール海老などの大型甲殻類も料理屋の勘定を跳ね上げてしまう鬼門的メニューであり、他の選択肢がある限り決して頼まなかったものである。

 

しかし松屋で頼むとサラダ、ご飯(期間限定で大盛無料)、みそ汁が付いて790円!

オマール海老とみそ汁の取り合わせについては様々な意見があると思うが、790円!である。

どんな料理が出てくるのか楽しみにして券売機のボタンを押し、無料のほうじ茶を飲みながら店内で料理の出来上がりを待つ。

 

 

自分の番号が自動音声で読み上げられカウンターで料理がのったトレーを受取る。

トレー中央に鎮座するグラタン皿を注視するがオマール海老様のお姿が見えない。

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改めて料理名を確認するとオマール海老「ソース」のチキンフリカッセとなっており、オマール海老様はソースに関係しているだけでご本尊は料理に出てこないことが判明したのである。

 

冷静に考えればこの値段でオマール海老様を食べようというのはいくらなんでも虫が良すぎる。

虫が良すぎるのだが、店頭のポスターにはオマール海老様が大きな爪で皿を挟みこむ写真が使われており、てっきりご本尊が出てくるものと早合点する客は自分以外にも相当いるのではないか、と思われる。

 

 

少しばかり失望したが、気をとり直してチキンフリカッセをひと口。

フリカッセ、ネットで調べると乳製品を使って煮込んだ白い料理の総称とのこと。

オマール海老様の貢献もあってかソースはコクがあってウマい。

煮込まれたチキンとの相性もいい。

 

 

前に同じ松屋で食べた「黒トリュフソースのビーフハンバーグ」の時と同様、ソースが全国展開する牛丼チェーンのレベルではない。

最初はオマール海老様に会えなくて残念だったが、最後はそんなことはどうでもよくなった。

許されるのなら持ち帰りでワインと一緒に食べてみたい。

 

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