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配偶者が行方不明の場合の離婚手続

 

配偶者の居所が住民票上の住所地にある場合

 

配偶者が行方不明の場合、まず配偶者の住民票を調べます。

市区町村役場で世帯全員の住民票を取得します。

配偶者の住民票が自宅から異動している場合、配偶者の本籍地がある市区町村役場に戸籍の附票※を取得して配偶者の住民票上の住所地を確認します。

本籍地の市町村において戸籍の原本と一緒に保管している書類で、その戸籍が作られてから(又は入籍してから)現在に至るまで(又はその戸籍から除籍されるまで)の住所が記録されています。)を取得します。

住民票上の住所地から配偶者の居所が判明すれば、当該居所を管轄する家庭裁判所に離婚調停を申立てることができます。

 

配偶者の居所が住民票上の住所にない場合(公示送達)

 

住民票上の住所に配偶者が居住していない場合(家出等の際に住民票を動かしていない場合)、配偶者の親族や勤め先等の関係者に連絡を取って配偶者の所在を調査します。

上記調査の内容については、後に訴訟を提起する際に必要となるため報告書にまとめておきます。

夫婦いずれかの住所地を管轄する家庭裁判所に離婚訴訟を提起し、他の必要書類と一緒に上記配偶者の所在を調査した報告書を提出します。

 

本来訴訟を行うには(審理を開始するには)訴状等を被告に送達する必要があります。

しかし被告の所在が不明等の場合には「公示送達」が行われます。

公示送達とは、被告の所在が不明等の場合に、裁判所が訴状等の送達すべき書類を保管して何時でも送達を受ける者に交付する旨を裁判所の掲示板に掲示するものです。

公示送達が行われる要件は「当事者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れない場合」等となります(民事訴訟法110条1項等)。

掲示を開始してから2週間が経過すると送達の効力が生じることになります(民事訴訟法112条)。

 

離婚訴訟における欠席裁判

 

俗に欠席裁判とは、当事者の一方が裁判に欠席した場合に、裁判所が出席した他方の主張を内容とする判決を下すことをいいます。

しかし、人事訴訟である離婚訴訟では、職権探知主義が採用されており、裁判所は原告が提出した証拠を取り調べ、原告に対する本人尋問が行われることが少なくありません。

その結果、裁判官が原告の主張に理由があると判断した場合に離婚を認容する判決が出されます。

 

もっとも配偶者が長期間行方不明の場合は、行方不明であることそれ自体が裁判上の離婚原因である「その他婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)に該当すると判断され、離婚を認容する判決が下されることが多いと思われます。

 

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