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「本末転倒」という言葉がある。

どうでもいいことにこだわって、肝心かなめな大事なことがおろそかになってしまう、という意味であろう。

「木を見て森を見ず」という言葉もある。

子細なことばかり気にして、高所大所から物事をみることができない、という意味であろう。

大人になると自分の行いが「本末転倒」あるいは「木を見て森を見ず」であると実感することは普段の生活では、まあ、ない。

しかし、これらの事象が頻繁に起こるのがステーキランチ、である。

パスタランチなんかも加えていいかもしれない。

メインの一品は出しきり。サイドのサラダなんかが食べ放題、取り放題というシステムのランチ。

こうしたシステムを採用している店は、客が先にサイドメニューを確保し、その後メインの一皿がサーブされる段取りになっていることが多い。

この「末」であり「木」となるサイドメニューが、メインである「本」あるいは「森」を見えなくしていしまうのである。

今回行ってきた名古屋駅前のビストロステーキTボーンなるお店の「厚切り骨付ステーキランチ」も客が先にサイドメニューを確保した後にメインの骨付きステーキがサーブされるというものである。

客は座席に案内された後、メインのステーキを150g（1600円）にするか、300g（2900円）にするかを店員に告げた後、自分でカウンター上に展開するサイドメニューから自分が食べたいものを食べたいだけ取ってくるというシステムであった。

ちなみに注文したのは150g（1600円）の方。

さっそく自席からカウンターに出陣してみると、この店ではサラダのほか、パスタやカレーライスも食べ放題になっていることが確認できた。

1枚目のプレートには海藻、ピクルス、ポテトなどのサラダを一通り、そしてスパゲティーを盛り込む。

2枚目はオーソドックスにカレーで決めてみた。

カレーのルーの中にはよく煮込まれたと思われるすじ肉の塊が浮遊している。

自席に戻り早速確保したサイドメニューを食べることにする。

サラダ全般＝可もなく不可もなし。スパゲッティ＝調理してから少し時間がたっているか。カレー＝かなりいける！イギリス紳士もびっくりなオーセンティックな味わい！

さきほどサイドメニューと書いたが、改めて食べたものを見てみると普通の昼食一食分になっている。

しかし、こうしたサイドメニューを食べ終わってもメインのステーキはやって来ない。

しかたなく2回目の出陣。

ほんとうは2皿目のカレーを確保したかったが、年齢及び尿酸値、そして世間体を考えてサラダのお替りにとどめる。

2皿目のサラダをほぼ食べ終えたころ、メインの骨付きステーキがサーブされてきた。

皿ごとオーブンで焼かれた骨付きステーキ、ワイルドな見た目である。

店員によるとおススメは、皿にたまった溶かしバターで食べるというもの。

さっそくすすめられた通りに食べてみると、肉のうまみ、溶かしバターのコクが相まってウマい！

卓上にあった岩塩なんかでも食べてみたけど、溶かしバターまぶしが一番よかった。

しかし、である。

このステーキにたどり着くまで、サラダメインとはいえ大皿3枚分の料理がすでにお腹に収まっている。

このステーキを味わうために入ったお店なのに、サイドメニューでお腹いっぱいになり、ステーキを味わうことができなくなってしまった。

若いころならまだまだステーキを楽しむ胃力が備わっていたが、キャベツ―コーワで胃粘膜を修復する今日この頃ではステーキのウマさが十分に堪能できなかったのが残念！

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