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離婚時の財産分与

 

夫婦が離婚する際の財産分与については、民法768条1項が「協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。」と規定しています。

財産分与については、協議に拠ることが原則ですが、当事者間で協議が調わない場合や協議できない場合は、離婚後2年以内であれば、家庭裁判所に対して協議に代わる審判を請求できます(同条2項)。

 

財産分与の請求を離婚と同時に行う場合は、夫婦関係調整調停(離婚)(家事事件手続法244条、257条1項)に附帯して申立を行います。

離婚後に請求する場合は、家庭裁判所に対して調停(家事事件手続法244条、別表2④)、審判(同39条、別表2④)の申立によって行います。

 

また、上記民法768条は裁判上の離婚にも準用されます(民法771条)。

そして離婚訴訟を提起する際、財産分与に関する処分については附帯して申立を行うことができます(人事訴訟法32条1項)。

 

特有財産(固有財産)の判断基準

 

夫婦の一方が、①婚姻以前から所有していた財産、②婚姻中に相続・贈与等で相手方とは無関係に取得した財産、③婚姻後に購入されたもので衣服等明らかに夫婦の一方の専用品として使用されているもの、については、いずれも特有財産として、財産分与の対象になりません。

特有財産か否かで争いになるものには次のようなものがあります。

 

夫婦の一方の親が贈与した資金

 

例えば、妻の両親が妻に対して、婚姻生活を円満に送れるように支援の趣旨で贈与を行った場合、離婚に際して当該贈与相当の金員が妻の特有財産か否かで争われることがあります。

妻の両親が資産家で、相続税対策として妻に生前贈与を行っていた場合などは妻の特有財産として認定されることが多いと思われます。

他方で、夫婦の生活を援助する趣旨で贈与を行っていた場合には、たとえ受贈者が妻であっても、実質的には夫婦双方への贈与として特有財産から除外されることになります。

 

交通事故等の賠償金・保険金

 

交通事故の賠償金等については裁判例で次のように判断されています。

「財産分与の対象財産は、婚姻中に夫婦の協力により維持又は取得した財産であるところ、上記保険金のうち、障害慰謝料、後遺障害慰謝料に相当する部分は、事故により受傷し、入通院治療を受け、後遺障害が残存したことにより相手方が被った精神的苦痛を慰謝するためのものであり、抗告人が上記取得に寄与したものではないから、相手方の特有財産というべきである。」

「これに対し、逸失利益に対応する部分は、後遺障害がなかったとしたら得られたはずの症状固定時以後の将来における労働による対価を算出して現在の額に引き直したものであり、上記稼働期間中、配偶者の寄与がある以上、財産分与の対象となると解するのが相当である。」

 

したがって、慰謝料等は財産分与の対象とはなりませんが、逸失利益については財産分与に含まれることになります。

 

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