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婚姻費用・養育費を確保するための強制執行

 

養育費や婚姻費用を義務者が支払わない場合、権利者は債務名義を得る等して義務者の財産を差押えることになります。

債務名義とは、債務者(義務者)に対する強制執行によって実現する権利者の債権の存在及び範囲を証明した公的な文書のことです。

 

民事執行法22条には、債務名義として、確定判決や確定判決と同一の効力を有するもの(調停調書等)など、7つの債務名義が規定されてます。

したがって、離婚調停等で婚姻費用や養育費の支払の合意がなされ、当該合意が調停調書に記載された場合、調停調書を債務名義として義務者の財産に強制執行ができることになります。

 

婚姻費用・養育費の特則

 

請求が確定期限の到来にかかる債権では、その期限が到来するまでは強制執行を開始することができないのが原則です。

(民事執行法30条1項)

これを養育費や婚姻費用の支払にそのまま当てはめると、権利者は義務者が不払いをする都度、強制執行するか、不払額がある程度まとまってから強制執行をする必要が生じます。

 

そもそも養育費や婚姻費用は、権利者の生活を維持するために不可欠なものであり、不払額がまとまるまで強制執行ができないとなると、権利者に経済的な困難を強いることになります。

そこで養育費や婚姻費用といった扶養義務等に係る定期金債権については、その一部が不履行となれば、まだ期限が到来しない定期金についても一括して、義務者の給料等継続的給付にかかる債権に対する強制執行ができることとされています。

 

特例の対象となる請求債権

 

特例の対象となる請求債権は、次の定期債権で、確定期限のあるものに限られます。

① 夫婦間の協力扶養義務(民法752条)

② 婚姻費用分担義務(同760条)

③ 子の監護費用分担義務(同766条等)

④ 扶養義務(同877条乃至880条)

 

この特例で強制執行を開始するには、各定期金債権の一部に不履行があることが必要です。

不履行がない場合や、過去に不履行があっても既にその弁済を済ませている場合は強制執行をすることはできません。

 

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