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法人スキームとは

 

法人スキームとは、アパートやマンションといった投資用不動産を1棟買うごとに法人を設立し、設立した法人で銀行から融資を受けるスキームです。

1棟1法人スキーム、1法人1銀行スキームなどとも呼ばれています。

不動産投資家は、新たな投資不動産を買い入れるたびごとに法人を設立し、銀行からの融資に対して個人保証(連帯保証)を付けます。

借主は法人であり、不動産投資家の連帯保証の有無は個人信用情報として把握されないことが多いので、融資した銀行は、自行以外の実質的な借主の債務が把握できない仕組みになっています。

 

なぜ法人スキームなのか

 

個人が銀行から借り入れることができる金額は年収や保有資産により上限があります。

投資用不動産融資で問題を起こしたスルガ銀行ですら個人投資家への融資限度額は年収の20~30%でした。

しかし法人スキームを使えば、上述のとおり個人投資家の債務が把握されにくいため、銀行から個人で借り入れる時の何倍、何十倍もの融資を引き出すことができます。

その結果、さほど資産がない年収500万円程度の個人投資家が短期間に事業規模を拡大させることができます。

また、建物部分に係る消費税の還付を受けることができる点もメリットとされていました。

(後述のとおり、現在は還付の要件は厳格化されています。)

 

法人スキームは資金を貸し出す銀行、特に地方銀行にとってもメリットのあるものでした。

地方では人口や産業のシュリンクによって優良な貸出先が減少しています。

貸出そのものもマイナス金利の影響で収益性が低くなっています。

他方、魅力的な市場である大都市圏はメガバンクやメガ地銀の牙城で、地方の地方銀行が進出することは容易ではありません。

こうした中、大都市圏に設立された資産管理法人への融資により数億円規模の融資実績を作り上げることができました。

 

法人スキームの問題点

 

個人投資家が多数の法人のオーナーになった場合、法人ごとに発生する会社の登記費用といったイニシャルコスト、法人税や決算を依頼する税理士の報酬といったランニングコストは実質的にすべて一人の個人投資家が負担することになります。

また法人単体であれば認められる損益の通算も別別の法人間では認められません。

なによりも法人スキーム自体、銀行の適切な与信判断を潜脱するグレーな手法といえます。

その結果、2019年2月にはりそな銀行が一斉に個人投資家の借入実体の調査を開始し、債務を隠していた個人投資家に対して貸付金の一括返済か貸出金利を6%とするかを求めるといった事態に発展しました。

 

まとめ

 

2016年ころから個人不動産投資家の間で一世を風靡した法人スキームですが、その後の銀行審査の厳格化されました。

また2020年の税制改正により消費税の還付が受けられなくなることから、今後は法人スキーム自体は低調になるものと思われます。

(不動産投資が低調になるという意味ではありません。)

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