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養育費拐取のための生命保険解約返戻金の差押え

 

養育費の義務者がその義務を履行しない場合、家庭裁判所による履行勧告が利用できます。

それでもなお義務者が義務を履行しない場合、権利者は義務者の財産に対する差押えを検討することになります。

 

差押えの対象となる義務者の財産は不動産、預貯金債権などが考えられますが、義務者が保険契約を締結しており、当該保険契約に解約返戻金がある場合、解約返戻金を差押えることもできます。

 

権利者による解約権の行使

 

解約返戻金請求権は、保険契約者が解約権を行使することにより具体的な金銭債権となります。

最高裁の判例は、保険契約の解約権は、身分法上の権利と性質を異にしており、その行使を保険契約者のみの意思に委ねるべき事情はないので、一身専属的権利にあたらない、と判示しました。

その上で、債権者(養育費の権利者)にとって、解約権を行使することは差押えた解約返戻金請求権を現実化するために必要不可欠な行為であるから、債権者は解約権を行使できる、と判示しています。

(最判平成11年9月9日民集53巻7号1173頁)

 

介入権

 

一方、解約返戻金請求権を差押えられた債務者(義務者)にとってみると、生命保険が解約されてしまうと、体況や年齢により新しい生命保険に加入できなくなったり、あるいは契約条件が悪くなってしまうといったことが考えられます。

 

そこで保険法では「介入権」という権利が認められています。

保険契約者の債権者等が、保険契約に対する解約権を行使しようとする場合において、保険金受取人が一定の金銭を支払うことにより解約の効力を阻止できるというものです。

 

具体的には、債権者は破産管財人が保険契約を解除した場合、その解除の効力は保険会社が通知を受けてから1カ月を経過した日に発生することになります。

その間に保険金受取人が保険契約者の同意を得て、解約により支払われるべき解約返戻金の金額を解約権者に支払えば解約の効力は生じないというものです。

 

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