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遺族厚生年金の受給者

 

サラリーマンの夫が亡くなると、「配偶者」には遺族厚生年金が支給されます。

 

厚生年金保険法3条2項には

「この法律において、「配偶者」、「夫」及び「妻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。」

と規定されています。

 

したがって、法律婚の関係にない内縁の妻についても遺族厚生年金の受給資格が認められます。

それでは戸籍上の妻と、内縁の妻がいる場合、いずれが優先するのでしょうか。

 

社会保険庁の判断基準

 

被保険者に戸籍上の妻と内縁の妻がいる場合の取扱いについて社会保険庁は、

 

婚姻の成立が届出により法律上の効力を生ずることとされていることからして、届出にょる婚姻関係を優先すべきことは当然であり、したがって、届出による婚姻関係がその実態を全く失ったものとなっているときに限り、内縁関係にある者を事実婚関係にある者として認定するものとすること。

(昭和55年5月16日庁保発第15号社会保険庁年金保険部長通知)

 

「届出による婚姻関係がその実態を全く失ったものとなっているとき」とは、

①当事者が離婚の合意に基づいて夫婦としての共同生活を廃止していると認められるが戸籍上離婚の届出をしていないとき、

②一方の悪意の遺棄によって夫婦としての共同生活が行われていない場合であって、その状態が長期間(おおむね10年程度以上)継続し、当事者双方の生活関係がそのまま固定していると認められるとき

等が該当する。

なお、「夫婦としての共同生活の状態にないといい得る」ためには、次のすべての要件に該当することを要する。

①当事者が居住を異にすること

②当事者間に経済的な依存関係が反復して存在していないこと

③当事者間の意思の疎通を表す音信又は訪問等の事実が反復して存在しないこと

(同第13号通知)

 

したがって、別居中の夫と戸籍上に経済的な依存関係が反復して存在せず、連絡等もない状態等の事情が認められると、遺族厚生年金は、戸籍上の妻ではなく、内縁の妻に支給されることになります。

 

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