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養育費や婚姻費用の算定は、義務者(支払う側)及び権利者(支払いを受ける側)の年収を、裁判所の養育費・婚姻費用算定表に当てはめて、その金額を求めるのが実務では一般的です。

 

前のブログでも紹介しましたが、給与所得者は源泉徴収票の「支払金額」(控除されていない金額)、自営業者は確定申告書の「課税される所得金額」が算定表に当てはめる年収となります。

 

しかし、自営業者の中には建築業の一人親方ののように、収入があることは明らかですが、確定申告をしていない、賃金の支払が振込ではなく現金手渡しのため収入が明らかとなる資料がない(あっても、義務者が資料の提出に協力しない)ことがあります。

 

権利者から義務者に対して、年収が分かる資料の提出を促しても資料が提出されない場合、権利者は、家庭裁判所に養育費や婚姻費用の支払いを求めて調停を申立てることができます。

 

義務者が調停に出頭した場合は、調停委員から年収を認定できる資料の提出等が求められます。

義務者が調停に出頭しない場合は、裁判所の判断によりますが、家庭裁判所調査官から義務者に対する出頭勧告が行われ、必要に応じて年収に関する資料の収集が行われます。

 

それでも義務者が調停への出頭を拒否し、年収に関する資料の提出等に応じない場合、義務者の年収をできる限り客観的かつ事案に即して認定するために、賃金センサス等の統計資料に基づいて義務者の年収を認定することがあります。

 

賃金センサスとは、賃金構造基本統計調査のことで、労働者の種類,職種,性別,年齢,学歴,勤続年数,経験年数に応じて、それぞれの平均賃金を算出したものです。

 

賃金センサスは膨大な数に上るため、義務者の年収を認定するためにどの賃金センサスを用いるべきかについて、権利者から義務者の就業状態を聴収するなどして認定していくことになります。

 

いずれにせよ、義務者の協力が得られない、年収に関する資料がないとった場合にも、権利者は養育費や婚姻費用の支払いを求めていくことができるので、諦めないことが肝心です。

 

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