ブログ

婚姻費用の請求

 

婚姻費用とは、夫婦と未成熟子によって構成される家族が、その資産・収入・社会的地位等に応じた通常の社会生活を継続するために必要な費用のことです。

 

婚姻費用の支払義務者から、権利者に支払われる婚姻費用の金額の算定については、「平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について」における「研究報告の概要及び改定標準算定表(令和元年版)」が活用されています。

 

別居中の婚姻費用は、当事者間の協議により定めることもできます。

当事者間で協議がまとまらない場合や、協議ができない場合、家庭裁判所に対して、婚姻費用の分担の調停を申立てることになります。

 

調停の申立は、原則として、相手方の住所地の家庭裁判所が管轄裁判所となります。

(家事事件手続法245条1項)

 

しかし、自宅を出た相手方の住所が分からない場合、調停の申立は困難です。

一方、婚姻費用の分担の審判申立については、夫(相手方)若しくは妻(申立人)の住所地の家庭裁判所が管轄裁判所となるため、夫の住所地が分からないといったケースでは、妻は自分の住所地の家庭裁判所に申し立てることができます。

 

保全処分の申立

 

婚姻費用の分担の調停や審判を申立てた場合も、結論がでるまでには一定程度時間がかかります。

しかし、妻が働けないといった事情がある場合、早急に婚姻費用を確保する必要があります。

 

そうした場合、婚姻費用の分担の調停(審判)を申立てるのと同時に、調停(審判)を本案として、婚姻費用の分担の保全処分(婚姻費用の仮払いの仮処分)を申立てることが可能です。

(家事事件手続法157条1項2号)

 

保全処分の管轄裁判所は、本案(調停、審判)が継続している家庭裁判所です。

(家事事件手続法105条1項)

 

保全処分の審理手続では、申立人が、①本案が認容される(婚姻費用の分担請求が認められる)蓋然性、②保全の必要性(申立人や子の急迫の危険を防止するために保全処分を認める必要があること)を疎明する必要があります。

 

保全裁判所でこれらが認められると、保全裁判所から保全命令が発令されます。

具体的には、債務者(義務者)の預貯金債権や給与債権に対する仮差押えが可能となります。

 

なお、保全前の仮処分では、その緊急性から、審判を受ける者に告知された時点から仮差押え等ができますが(家事事件手続法109条2項)、保全処分が送達された日から2週間を経過すると執行ができなくなるため注意が必要です(同条3項、民事執行法43条2項)。

 

その他の離婚の解説は

👉離婚

オールワンへの
お問い合わせ・ご相談予約