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内縁の意味
内縁とは、婚姻する意思があって、社会的・外形的に夫婦と違わない共同生活を営んでいる一方で、婚姻の届出をしていないため、法律上夫婦といえない場合をいいます。
したがって、内縁といえるためには、①双方に婚姻意思があること、②夫婦共同生活の実態が存在すること、が必要となります。
内縁の法的性質
過去の判例では、内縁は婚姻予約であり、将来において適法な婚姻をなすべきことを目的とする契約であるとする一方、その予約の不履行を理由に損害賠償請求はできるか、不法行為を理由に損害賠償請求することはできないと判断していました。
(大連判大正4年1月26日・民録21-49)
その後の判例では、
①内縁は、男女が互いに協力して夫婦としての生活を営む結合であるという点で婚姻関係と異なるものではない。
②厳密な意味での権利ではなくとも法律上保護される利益があれば民法709条で保護される。
③内縁も保護に値する生活関係である以上、それが正当な理由なく破棄されれば不法行為責任を追及することができる。
④婚姻予約の不履行を理由とする損害賠償責任の追及も可能である。
と判示されることになりました。
(最判昭和33年4月11日民集12-5-789)
内縁であることにより認められる法的効果
社会的・外形的に夫婦と違わない共同生活を営んでいることにより、内縁が認められると次のような効果が生じます。
扶助・協力義務(752条)
婚姻費用の分担義務(760条)
日常家事債務の連帯責任(761条)
夫婦財産性における共有推定(762条2項)
内縁関係解消の際の財産分与請求権(768条)
貞操を守る義務(770条1号参照)
内縁と事実婚
事実婚とは、自分たちの主体的意思によって婚姻届を出さない共同生活形態とされています。
したがって、事実婚の場合、婚姻意思がなく、婚姻意思があることが前提とされた内縁とはこの点において異なります。
しかし、事実婚においても社会的・外形的に夫婦と違わない共同生活が存在する以上、内縁同様の法的保護が必要であるといわれています。
なお判例には、意図的に婚姻を回避し、住所や生計が別々で、生活もそれぞれ独立していた男女の関係解消を理由とした慰謝料請求を否定したものがあります。
(最判平成16年11月18日判時1881-83)
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