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賃貸借の存続期間(604条)
新貸借の存続期間の上限が、20年から50年に伸長されました。
賃貸人の地位の移転に関する判例法理の明文化(605条の2、605条の3)
不動産の賃貸借が対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡された場合、賃貸人の地位は授受人に移転します(605条の2第1項)。
ただし、譲渡人と譲受人が、①賃貸人の地位を譲渡人に留保する旨の合意、及び②譲受人と譲渡人間の賃貸借契約の締結をした場合、賃貸人の地位は移転しません。
譲渡人と譲受人間の賃貸借が終了した場合は、賃貸人の地位は譲受人又はその承継人に移転します(605条の2第2項)。
賃貸人の地位の移転は、不動産の所有権の移転登記をしないと賃借人に対抗できません(605条の2第3項)。
賃貸人の地位が譲受人又はその承継人に移転した場合、賃借人による費用の償還請求に係る債務及び敷金返還債務は、譲受人又はその承継人が承継します(605条の2第4項)。
不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要せず、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができます(605条の3)。
不動産賃借権に基づく妨害排除請求権に関する判例法理の明文化(605条の4)
605条の2第1項の対抗要件を備えた不動産賃借権は、
①その不動産の占有を妨害している第三者に対する妨害停止請求
②その不動産を占有している第三者に対する返還の請求
をすることができます。
賃借人の原状回復義務(621条)
賃借人は、その損傷が賃借人の責に帰することができない事由がある場合を除き、賃貸借終了時に、賃借物を受取った後に生じた損傷について原状回復義務を負います。
ただし、その損傷には「通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化」は含まれません。
用法違反による損害賠償請求権の時効完成猶予(622条・600条2項)
用法違反による損害賠償請求権は、貸主が返還を受けたときから1年を経過するまでは時効の完成が猶予されます。
敷金に関する明文規定(622条の2)
敷金が「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。」と定義されました。
賃貸人は、敷金を受取っている場合、
①賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき、又は
②賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき、
賃借人に対して、敷金から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならないと規定されました。
賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができます。
他方、賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することはできません。
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