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諾成的消費貸借契約の明文化
改正前民法で消費貸借契約は、目的物の授受がなされて初めて成立する要物契約とされていました。
もっとも実務では、目的物の授受を必要としない諾成的消費貸借契約は行なわれており、判例※でも有効であるとされていました。
※最判昭和48年3月16日金融法務事情683号25頁
ただし、借主が軽率に借入の合意をして債務を負担することを防止するため「書面」(1項)「電磁的記録」(4項)を作成することが要件となりました。
587条の2第1項
前条の規定(消費貸借)にかかわらず、書面でする消費貸借は、当事者の一方が金銭その他の物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。
目的物の引渡し前に借主にとって契約不要となった場合、借主を契約に拘束させる必要がないため、借主に解除権が認められました。
2項
書面でする消費貸借の借主は、貸主から金銭その他の物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。この場合において、貸主は、その契約の解除によって損害を受けたときは、借主に対し、その賠償を請求することができる。
無利息の消費貸借契約
無利息の消費貸借契約では、貸主は、目的である物を、貸渡しの目的として特定した時の状態で引き渡せば足ります。
590条1項
第551条の規定(贈与者は、贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定する。)は、前条第1項の特約(利息の特約)のない消費貸借について準用する。
時期前に返還した場合の損害賠償請求
当事者が返還時期を定めていた場合でも、借主は何時でも返還することができますが、それによって貸主が損害を受けた場合は、貸主は、借主に対して損害賠償請求ができます。
591条
2項
借主は、返還の時期の定めの有無にかかわらず、いつでも返還をすることができる。
3項
当事者が返還の時期を定めた場合において、貸主は、借主がその時期の前に返還をしたことによって損害を受けたときは、借主に対し、その賠償を請求することができる。
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