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離婚における財産分与
離婚においては、夫婦間の財産関係を清算するため財産分与が行われます。
夫婦となってから別居するまでに2人で築いた財産を原則半分に分けるのが財産分与です。
財産分与の対象は婚姻期間中に2人で築いた財産であり、財産の名義は関係ありません。
自宅不動産が夫名義でも、夫婦で購入したことが認められると財産分与の対象です。
他方、親から相続した財産や、婚姻前から有していた財産は財産分与の対象になりません。
しかし、離婚するにあたり、自分名義の銀行口座から預金を引き出した上で隠匿されたりすると、財産分与請求権は絵に描いた餅になってしまいます。
預金の取引履歴を突き付けて引き出したお金の行方を尋ねても、生活費に使った等々強弁されると警察でもない限り隠匿されたお金を探し出すことはほぼ不可能です。
離婚における仮差押え手続の活用
仮差押えとは
仮差押えとは、財産分与請求権等の金銭債権の債権者による将来の強制執行の実効性を確保するため、債務者が特定の財産を処分することを禁止するものです。
仮差押えがなされると、保全に必要な限度で、債務者が当該目的物を処分することができなくなり、預金債権の引き出しなどが暫定的に禁止されることになります。
したがって、妻が、夫名義の預貯金の仮差押えをすると、夫は保全に必要な範囲内で預金の引き出しができなくなります。
仮差押えの要件等
裁判所における仮差押えを始めとする民事保全事件の審理の対象は、①被保全権利の存在と、②保全の必要性です。
言い換えれば、裁判所に仮差押え命令を発令してもらうためには、この2つの要件を満たしていることが必要となります。
まず被保全権利とは、仮差押えによって保全される権利のことです。
財産分与を保全するための仮差押えでは、財産分与請求権が存在することが必要となります。
保全の必要性は、差押えるべき財産を放置しておけば強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき、又は、強制執行するのに著しい困難を生じる恐れがあるときに認められます。
一時的には債務者の資力等を勘案して保全の必要性の有無が判断されます。
なお預金債権等の差押えは、一般的に債務者に与える影響が大きいため、不動産ではなく債権を差押える必要性として、債務者が剰余不動産を有していないことの疎明が必要となります。
仮差押え命令の発令は、債権者が担保金を提供することが必要です。
担保金とは、仮に保全処分が違法・不当であった場合に、債務者が被るであろう損害を担保するものです。
担保金の額については、保全命令の種類、被保全権利の種類及び価額、保全対象物の種類及び価額、疎明の程度、債務者が被ると予想される損害の程度その他諸般の事情を斟酌して、裁判所の自由裁量により決定されます。
このように仮差押えの申立については若干手続等が複雑ですが、配偶者が財産を隠匿する恐れがある場合は、仮差押えでそうした事態を回避することができます。
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