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夫婦双方が離婚を請求した場合
夫婦双方が離婚を請求した場合については、その離婚を請求する理由はともかく、婚姻の破綻を理由として、離婚をするという双方の意思は一致しているといえます。
したがって、こうした場合は、離婚自体は認容される傾向にあります。
裁判例においても、
「(夫婦双方が離婚を請求した場合には)婚姻の破綻を理由とする離婚の点において双方の意思は一致しており、婚姻の継続が望めないことは明らかであるから、協議離婚制度を採用する法の趣旨に則って考えてみると、特段の事情がない限り、夫婦関係の内容に立ち入って判断するまでもなく、婚姻を継続し難い重大な事由があるものとして、本訴、反訴とも離婚請求を認容することができると解するのが相当である」とされています。
(東京地判昭和61年12月22日判時1249号86頁)
夫婦一方の離婚請求を認容し他方の請求を棄却するケース
裁判例の中には、離婚の原因を作った夫からの離婚請求を認めず、妻からの離婚請求だけを認容したものがあります。
夫から妻に対して、悪意の遺棄を理由に離婚と慰謝料の支払いが求められ(本訴)、反対に妻から夫に対して、悪意の遺棄とその他婚姻を継続し難い重大な事由を理由に離婚と慰謝料の支払いが求められた(反訴)ケースでは、夫の飲酒と妻に対する暴力を離婚原因と認定し、夫の請求を棄却し、妻の請求を認容しました。
(東京地判平成16年1月15日)
同様に、夫と妻双方が離婚を請求したケースでは、離婚原因は夫が定職につかず、パチンコに興じ、婚姻費用をほとんど負担しなかったとして夫を有責配偶者と認定し、夫の請求を棄却し、妻の請求を認容しました。
(東京地判平成16年10月28)
他方、夫と妻双方が離婚を請求したケースで、夫の妻に対する暴力を認定し、夫の暴力が主たる原因で婚姻関係は破綻しているとしつつも、夫婦双方の離婚請求を認容するケースもあります。
(東京地判平成16年11月12日)
以上のとおり、夫婦双方が離婚を請求した場合、結論として離婚は認容されますが、その内訳は、夫婦双方の請求を認容するケースと、夫婦の一方の請求は棄却し、他方の請求を認容するケースがあります。
離婚自体が認められるという結論は異なりませんが、離婚請求に付帯して慰謝料請求などを行う場合には、その慰謝料請求等について差異がでてくることになります。
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