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物損とは

 

物損とは、車両等、物の滅失や毀損による損害のことです。

 

自賠責における運行供用者の責任は、人の生命・身体に対する加害行為による損害の賠償のみに適用され、物損には適用されません。 ※

 

そこで、物損による損害の賠償を加害者に求める場合は、民法709条に規定する不法行為責任を追及することになります。

 

自動車損害賠償保障法3条(自動車損害賠償責任) 本文

自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。

 

なお、自賠責保険による保険金額は、被害者が死亡した場合で3,000万円、死亡に至るまでの障害による損害については120万円です(自動車損害賠償保障法施行令3条1項1号)。

 

経済的全損

 

経済的全損とは、事故車両の修理費が、車両時価額(消費税相当額を含む)に買替諸費用を加えた金額を上回ることです。

 

経済的全損と評価されると、事故車両の所有者は修理費を請求することができず、事故当時の車両時価額と買替諸費用の合計額が請求できます。

 

経済的全損であるか否かは、事故車両の事故当時の車両価格を認定する必要があります。

 

具体的には、同一車種・年式・型、同程度の使用状態・走行距離等の車両を中古車市場で取得するのに要する価格(再調達価格)に拠ります。

 

同一車種・年式・型の中古車価格については、いわゆるレッドブック※の価格を参考に、インターネットの中古車販売情報を調査し、できるだけ事故車両の状態に近い車両を探して、その販売価格を参考とします。

 

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(一般の人でも購入できますが、購入は年間契約が必要となります)

 

評価損

 

事故車両を修理しても、機能や外観に欠陥が生じ、又は、事故歴があることによって、隠れた瑕疵があるのではないか等の理由でリセールバリュー(再販売価格)が低下することがあります。

 

事故当時の車両価格と、こうした修理後の車両価格の差額を評価損といいます。

 

評価損には、「技術上の評価損」と、「取引上の評価損」があります。

 

技術上の評価損とは、修理をしても完全な原状回復ができず、機能や外観に何らかの欠陥が残存している場合に認められるものです。

欠陥が残存している以上、事故車両の車両価格は、事故前と比べて低下していると考えられます。

 

一方、取引上の評価損とは、中古車市場において、事故歴・修理歴のある車両は隠れた瑕疵があるかも知れない、縁起が悪い等の理由によってリセールバリューが低下すると考えられる場合に問題となります。

 

この点、修理によって原状回復がなされた以上、事故車両には客観的な価値の低下がなく、取引上の評価損は認められないと考えることもできます。

 

しかし、事故歴・修理歴のある中古車のリセールバリューは低下することが公知の事実であり、一般論としては取引上の評価損は認められるといえます。

 

取引上の評価損が認められるか否かは、事故車両の車種、走行距離、初度登録からの期間、損傷の部位や程度、修理の程度、事故当時の同型車の時価、財団法人日本自動車査定協会の事故減価額証明書※等を総合的に考慮して判断されることになります。

 

裁判例の中には、財団法人日本自動車査定協会の事故減価額証明書について、評価過程が明らかでないとして、評価損を認めるための十分な証拠とはいえないとしたものがあります。

(東京地判平成10年10月14日 交通事故民事裁判例集31・5・1523)

 

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