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夫婦間の財産の帰属

 

我が国の民法では、夫婦間の財産の帰属について、夫婦別産制を原則としながらも、夫婦いずれに属するのか分からない財産は夫婦の共有財産と推定されます。

 

民法761条(夫婦間における財産の帰属)

1項

夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産とする。

2項

夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。

 

夫が稼いだお金自体は夫の特有財産ですが、それが家計(生活費)に充てられた上で余剰が生じた場合、そのお金は夫の特有財産としての性質を失い、夫婦の共有財産であるとの推定を受けることになります。

 

したがって、妻のへそくりについては、その半分は妻のもの、残りの半分は亡くなった夫のもの、という推定が働くことになります。

 

なお、法律上「推定する」は、「見なす」と異なり反証が許されます。

したがって、事情によってはへそくり全てが亡くなった夫の固有財産と指摘される可能性もあります。

 

せめてその半分を妻固有の財産と主張するのであれば、へそくりを妻の銀行口座で管理するなど、夫の特有財産から離脱したといった事情が必要となります。

 

へそくり全てを妻固有の財産と主張できないか?

 

へそくりが夫婦共有であることを超えて、その全てを妻固有の財産というためには、やはり夫から妻へのへそくり相当の金員の贈与が認定される必要があります。

 

具体的には、贈与契約書等において夫と妻の間に贈与意思の合致が認められることや、贈与税の基礎控除(暦年で110万円)をこえる贈与がある場合には受贈者である妻の贈与税の申告・納付といった事情が必要となります。

 

こうした事情が認められない場合は、よくて半分が妻固有の財産、場合によっては全て亡くなった夫固有の財産と認定される可能性があります。

 

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