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遺言では次の後継者までしか決めれない

 

事業承継に関して、遺言のなかに、次の、そして、そのまた次の後継者を指定しておきたい、といった相談を受けることがあります。

 

次の後継者は長男と決まっているので、自社株式等は長男に相続させたい。

ただ、長男夫婦には子どもがいないので、長男の次の後継者は次男にしたい・・・

 

しかし、日本の遺言では、自分の財産を次に引き継ぐ人、すなわち相続人や受遺者を指定することができても、相続人や受遺者がその財産を次に誰に引き継ぐのかを指定することはできません。

 

遺言の付言事項にそうした希望を書くことはできますが、付言事項の法的な拘束力はありません。

したがって、遺言で自社株式等を残せるのは次の世代までです。

 

後継ぎ遺贈型の受益者連続信託

 

一方で家族信託を利用すれば、場合によっては次の後継者、次の次の後継者、さらに次の次の次の後継者まで指定することができます。

 

後継ぎ遺贈型の受益者連続信託とは、受益者が死亡しても信託を終了することなく、順次受益権を取得する者の指定がある信託のことです。

 

例えば、現在のオーナーを委託者・第1の受益者と設定し、現在のオーナーが亡くなった後は長男が第2の受益者、長男が亡くなった後は次男が第3の受益者、次男が亡くなった後は次男の子(孫)が第4の受益者・・・というように、受益者を連続して指定できる信託契約です。

 

もっとも、無制限に受益者を指定できるものではなく、信託契約の設定から30年を経過すると受益権の承継は1度きりとなります。

 

逆に言えば、信託契約の設定から30年間は受益者を指定することができるため、後継者に子がいない場合などに、その次の後継者をその卑属以外に指定することができます。

 

現在の法制では、こうしたことができるのは後継ぎ遺贈型の受益者連続信託だけです。

 

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