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相続税は時効によって支払う必要がなくなるのか

 

相続をテーマに講演をすると、相続税や贈与税の「時効」について質問を受けることが少なくありません。

 

特に相続税の調査で指摘を受けることが多い「名義預金」の話をすると、昔作った名義預金なら相続税が「時効」になるから大丈夫ではないか?といった質問を受けることになります。

 

それでは相続税や贈与税の時効はどうなっているのでしょうか。

 

まず税務署長が国税債権を確定させる処分には更正、決定及び賦課決定があり、これらの権利を「賦課権」といいます。

賦課権が存在する期間は、税務調査を行うことができます。

 

相続税の賦課権は時効ではなく除斥期間の経過で消滅する

 

賦課権については、時効消滅ではなく、除斥期間の経過により消滅します。

 

時効と除斥期間の違いは、時効では一定の事由が生じると進行が中断する一方、除斥期間には中断はありません。

また、消滅時効は当事者の援用(えんよう=消滅時効の利益を受けるとの意思表示)が必要ですが、除斥期間には不要です。

 

相続税・贈与税の除斥期間

 

相続税については、法定申告期限(相続開始を知った翌日から10カ月)の翌日から5年を経過するまで税務署長は更正・決定・賦課決定を行うことができます。

したがって、相続税の除斥期間は5年です。

 

一方、贈与税には特例があり、法定申告期限(贈与を実行した翌年の3月15日)の翌日から6年を経過するまで税務署長は更正・決定・賦課決定を行うことができます。

したがって、贈与税の除斥期間は6年です。

 

また、国税通則法にはさらなる特例があり、偽りその他不正の行為により税額を免れ、もしくは税額の還付を受けた場合は、法定申告期限の翌日から7年を経過するまで税務署長は更正・決定・賦課決定を行うことができます。

したがって脱税の場合の除斥期間は7年となります。

 

名義預金は時効にならない

 

以上が相続税・贈与税の除斥期間の説明ですが、質問が多い名義預金についてはそもそも除斥期間がスタートしません。

 

名義預金とは、預金の出捐者と口座名義人に相違がある預金です。

典型が、親が子名義の銀行口座に自ら出捐したお金を預けているケース。

 

名義預金は、そもそも贈与契約が成立していないため、除斥期間が進行しません。

親が亡くなった時の相続では、親の相続財産としての預金が子の口座に預けられている、という判断ををされてしまいます。

 

したがって、名義預金に「時効」はありません。

 

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