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生前贈与の有無の調査
今年の5月にリリースされた国税庁の「平成30年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について (報道発表資料) 」に拠れば、贈与税の申告人員は49万4000人です。
そのうち申告納税額がある者は36万人、申告納税額は2788億円となっています。
被相続人から相続人に対する生前贈与は、相続税の申告において生前贈与加算の対象となったり、あるいは特別受益として相続財産に加算した上で遺産分割を行う必要があるなど、相続税の計算や遺産分割の結果に大きな影響を与えます。
さらには、平成25年の税制改正により、平成27年より20歳以上の孫に対しても相続時精算課税制度が適用されることになりました。
相続時精算課税制度を利用した孫への生前贈与は、贈与者の相続時に、被相続人である贈与者から孫への遺贈として相続税を計算するため、やはりその有無の調査は必要です。
開示請求書とは
被相続人の生前贈与の有無を調査するのに活用したいのが開示請求書です。
参考
相続税法49条1項
相続又は遺贈により財産を取得した者は、当該相続又は遺贈により財産を取得した他の者がある場合には、当該被相続人に係る相続税の期限内申告書、期限後申告書若しくは修正申告書の提出又は国税通則法23条1項(更正の請求)の規定による更正の請求に必要となるときに限り、他の共同相続人等が当該被相続人から当該相続の開始前三年以内に取得した財産又は他の共同相続人等が当該被相続人から取得した第21条の9第3項の規定の適用を受けた財産に係る贈与税の申告書に記載された贈与税の課税価格の合計額について、政令で定めるところにより、当該相続に係る被相続人の死亡の時における住所地その他の政令で定める場所の所轄税務署長に開示の請求をすることができる。
この開示請求制度は、相続税の申告等をしようとする者が、他の相続人等が被相続人から受けた
①相続開始前3年以内の贈与
②相続時精算課税制度適用分の贈与に係る贈与
の課税価格の合計額について、税務署長に開示を請求する手続です。
贈与税の申告と納税は、贈与をした翌年の2月1日から3月15日までとなっています。
したがって、開示請求手続は、相続が開始した年の3月16日以降に行うことになります。
開示請求手続に必要な書類
手続に必要な書類は次のとおりです。
① 全部分割の場合は、遺産分割協議書の写し
② 遺言書がある場合は、開示請求者及び開示対象者に対する遺言書の写し
③ 上記以外の場合は、開示請求者及び開示対象者に係る戸籍謄(抄)本
以上
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