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資産家が遺産分割対策ではなく相続税対策に関心を持つ理由
相続セミナーの講師を長年務めていて感じるのが、遺産分割対策と相続税対策に対するお客さんの「温度差」です。
もちろん例外はありますが、相続セミナーに参加するお客さんの関心の対象は、やはり「相続税対策」が中心です。
理由のいくつかは思いあたります。
理由その1
遺産分割対策の必要性はイメージがしづらい。
よもや自分の家庭、家族に限って遺産分割でもめ事が起こるなんて想像できない・・・
これが普通の人の感覚であり、実感であると思います。
したがって、遺産分割のもめごとに備えて遺言を書いておこう、とはなかなかなりません。
一方で、相続税対策の必要性は相続税額という「数字」によってその必要性を具体的に認識することができます。
理由その2
多くの人がいまだに遺言にネガティブな印象を持っています。
多くの人は「遺言」と「遺書」の違いは頭では理解できています。
それでも、遺言は遺書を連想させ、遺書は自分の死というあまり考えたくないことを思い起こさせます。
理由その3
遺言作成といった遺産分割対策は「今すぐに」行う必要がないこと、でしょうか。
今書かなくてもそのうちに・・・
人は必ず死にます。
しかし、多くの人の感覚としては、自分自身の死は今日、明日に起こる出来事ではありません。
明日は今日の延長上にあります。
結果として遺言作成といった遺産分割対策は先送りにされてしまうのでしょう。
理由その4
最後の理由は、相続セミナーに参加するお客さんの客層の問題です。
私が講師を務める相続セミナーの多くは主催者が三菱UFJ銀行です。
銀行の担当者が、自分のお客さんを相続セミナーに招待するケースが多いのである。
日本一のメガバンクの担当者が付くようなお客さんなので、相応の資産を有するいわゆる富裕層が中心となります。
したがって関心の中心が相続税対策になってしまうという訳です。
最後の理由はとも角、こうした理由で遺産分割対策としての遺言作成に取り掛かる人がまだまだ少ないのが現状です。
ただ遺言作成、とりわけ自筆証書遺言作成に関するルールが大きく変わろうとしている現在、今後は遺産分割対策に目を向ける人も増加するものと思われます。
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