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【相続法改正のポイントと実務への影響】

山川一陽 松嶋隆弘 2018年 日本加除出版

 

相続に関する民法改正に関する解説書。

今回の相続法改正の主なポイントは次のとおり。

 

1配偶者居住権の創設。

被相続人の配偶者に短期居住権と長期(原則終身)の居住権を認めるといった内容。

 

2遺産分割における一部分割に関する規定の創設

従来、共同相続人の合意がなければ、原則として遺産の一部を先行して分割することは困難であった。

新法では共同相続人間の協議が整わない場合も、各共同相続人は、家庭裁判所に対して一部の分割を請求できるようになった。

この規定により、遺産分割が整わない場合も、被相続人の預貯金の一部を先に分割し、葬儀費用や相続税の納税資金などに使用することが可能となった。

 

3遺留分算定方法の特則の見直し

相続人に対する贈与については、相続開始前10年間になされたものに限り遺留分算定の基礎財産に参入することになる。

本規定の創設により、事業承継における自社株式の贈与が行いやすくなることが考えられる。

すなわち、これまでは後継者に対して自社株式を贈与した場合、後のオーナーの相続時に他の相続人から後継者に対して、当該自社株式が特別受益にあたるとの主張がなされることがあった。

しかし、今後はこうした主張をすることできるのは10年に限定されるため、早期に自社株式を生前贈与しておけば、こうしたトラブルを回避することができる。

 

4特別受益者の相続分

婚姻期間が20年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地について遺贈又は贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈又は贈与について特別受益の持戻し免除の意思表示をしたものと推定することになった。

この規定により、高齢の配偶者が自宅を相続してしまうと、あとはわずかな現預金しか相続できなくなるといった事態を防ぐことができる。

その他、遺言執行者の権限の明確化、自筆証書遺言の要件の緩和など、今回の改正は実務に重要な影響を及ぼすものとなる。

 

自筆証書遺言の要件の緩和については、また別の機会で紹介したいと思う。

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