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今回は、顧問先の医療機関からの相談内容として多いスタッフの解雇について。
「今回採用した試用期間中の看護師は欠勤が多いので解雇したい」
「経験を買って中途採用した受付スタッフが期待外れだったので解雇したい」
せっかく採用した看護師や受付スタッフが期待通りの活躍をしない。
だから解雇したいのだが…という院長先生からの相談はけっこうある。
院長先生をはじめ、医師の多くが看護師、スタッフの解雇は簡単にできると考えているようである。
特に試用期間中であれば無条件で解雇できると信じている院長先生も少なくない。
が、日本で働いている人を解雇するのは容易ではない。
雇入れたときに期待した能力がないことが分かったとしても、原則としてすぐに解雇できるわけではない。
能力不足の看護師やスタッフに繰り返し指導・教育を行い、どうしても改善されない分かって普通解雇。
労働者を解雇するには、客観的で合理的な理由と、解雇の社会的相当性が求められるのである(労働契約法16条)。
この理は原則として試用期間中にもあてはまるので、試用期間中だからと言って無条件に解雇することは認められないのである。
もっとっも医師を解雇する場合は若干事情が異なる。
医師の場合は、そのプロフェッションとしての職業特性から、指導・教育を行わずに解雇した場合も、解雇が有効であると判断されることも少なくない(東京地判平成15年11月10日 自警会東京警察病院事件等)。
また、一定の能力・経験を前提とした中途採用においても、労働者に当該能力の欠如が判明した場合は、解雇を有効とするための使用者の指導・教育が求められることは少ない。
このように医師や一定の能力を前提とした中途採用者の場合、若干解雇のハードルは下がるが、新卒の看護師や受付スタッフには一般的な解雇法理が適用されるため、その解雇は非常に困難と言わざるを得ない。
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