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福岡の柳川は、北原白秋の出身地として、また水郷の町として知られている。

博多の天神(西鉄福岡)駅から西鉄の大牟田線特急に乗車すると、50分ほどで西鉄柳川駅に到着する。

 

駅前はどこにでもある地方の駅前風景が広がるが、10分ほど歩くとお堀巡りの遊覧船の発着場に行きあたる。

今回訪問した元祖本吉屋は、お堀沿いの道をしばらく進み、住宅街に入ったところにある。

 

 

住宅街に古色蒼然とした古民家が突然現れ、その古民家の換気扇から鰻を焼く煙が勢いよく流れ出てくる。

柳川は鰻のせいろ蒸しでも有名で、元祖本吉屋は、若松屋などと共に柳川を代表する鰻のせいろ蒸しの老舗である。

 

店に入り案内を乞うと中庭がよく見える座敷に通される。

注文を取りに来た仲居さんにせいろ蒸しを頼むと、半時間ほど時間がかかるとのこと。

 

そこで先に鰻の骨せんべいとキリンラガーの中瓶を注文。

のんびりと骨せんべいを肴にビールを飲んで鰻が蒸し上がるのを待つ。

 

 

一人客は自分だけのようで、ほかは夫婦連れや少人数のグループが静かに鰻を食べている。

この日、外は30度を超える暑さだったが、座敷は風が通り快適である。

 

自分の家だったら座布団を枕に横になってビールが飲めるのになあ、などと考えているところに鰻のせいろ蒸しが到着。

蒸しあげられたばかりの鰻は、すぐに箸が付けられないほど熱い。

 

 

フーフーと冷ましながら食べ進まないと口の中を火傷しそうなくらいである。

さて、蒸された鰻だが、ほどよく脂が抜けるのかさっぱりとしている。

 

ふだんは腹開きの鰻を蒸さずに直接焼き上げる関西風の調理方法で鰻を食べることが多いが、せいろ蒸しもこれはこれで旨い。

昼酒は回るというが、せいろ蒸しを食べ終わるころには一本のビールで眠たくなってきた。

 

このまま昼寝ができればどれだけいいか、など考えながら元祖本吉屋を後にした。

 

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