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【国税記者 実録マルサの世界】 田中周紀 2011年 講談社

 

著者は大学卒業後、共同通信社に入社し、その後テレビ朝日に転職。

共同通信社、テレビ朝日いずれでも国税当局を担当。

本書では、国税当局を担当していたときに取材した脱税事件が関係者の実名入りで紹介されている。

 

本書での主役は脱税者。

そして脱税者を徹底的に追いつめる国税局査察部。

ちなみに、査察部が単独で設置されているのは東京、大阪、名古屋のみ。

残る8つの国税局と沖縄国税事務所では調査査察部という名称の部署が設置されている。

査察部は国税犯則取締法(いわゆる国犯法(こっぱんほう))に基づき、令状を携えて脱税被疑者に対して家宅捜索(ガサ)を行う。

その後、容疑が固まれば地方検察庁に対して告発を行う。

 

査察部の内部は、内定調査を行う部門と、強制調査を実施する部門に分かれる。

前者は情報の情をとって「ナサケ」、後者は実施の実をとって「ミノリ」とよばれている。

 

本書で紹介されているのはこうした査察部が実際に告発にこぎつけた巨額脱税事件。

なかには、公認会計士によるタックスヘブンを利用した巧妙な脱税スキームもあり、よくも調査ができたものだと感心する。

脱税事件の解明は、アリバイトリックを説く推理小説にも似て非常に興味深い。

最後まで楽しく読ませてもらった。

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