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【百年続く企業の条件 老舗は変化を恐れない】
帝国データバンク 史料館・産業調査部 2009年 朝日新書
本書では、創業・設立から100年を超えた企業を「老舗」と定義し、どのような企業が老舗となり得たのかを多方面から研究している。
まず、一番創業が古い老舗と言えば建築工事業の金剛組。
金剛組の創業は578年というから聖徳太子が摂政になる以前。
この金剛組を筆頭に、1505年創業の剣菱酒造(清酒製造)、1521年創業の虎屋(菓子製造小売)、1550年創業の小西酒造(清酒製造)という具合にそうそうたる老舗が名を連ねる。
というわけで、老舗に対する調査では、老舗の強みとして「信用」、「伝統」、「知名度」が挙げられている。
一方で、弱みとして「保守性」が挙げられるなど、老舗が一般的に変化への対応が遅くなると指摘されている。
老舗の筆頭である金剛組も、バブル崩壊時に経営危機に陥り、高松建設(現高松コンストラクショングループ)の支援を受け、債務を切り離して新会社として出発した経緯があるので、老舗といえども変化に対応しないと伝統が潰えてしまうのだろう。
因みに老舗が多い業種ベスト5は、上から順番に1.清酒製造、2.酒小売、3.呉服服地販売、4.旅館・ホテル、5.婦人子供服小売と、生活必需品を扱う業種が上位を占めている。
これらの業種は一昔前の商店街に必ず一つはあった業種ばかりである。
さらに、老舗が多い地域ベスト5は、上から順番に1.京都、2島根、3.新潟、4.山形、5.滋賀が並んだ。
京都は想像どおり。
島根、新潟、山形は北前船の寄港地。
そして滋賀は近江商人というわけである。
このように老舗を多方面から分析した本書、なかなか楽しく読ませてもらった。
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