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【Q&A交通事故加害者の賠償義務 被害者からの過剰請求対応】
弁護士法人愛知総合法律事務所編 2017年 第一法規
帯に「加害者側の立場に立った唯一の解説書!」とあるように、交通事故の加害者が、被害者からの請求にどのように対応するのかを扱ったのが本書である。
一般的に弁護士のもとに持ち込まれる交通事故の相談は、被害者が、加害者(あるいは加害者が契約していた自賠責保険や任意保険の保険会社)に対する損害賠償請求案件が多い。
被害者が妥当と考える賠償額と、保険会社から提示のあった賠償額に開きがあるときに弁護士に保険会社の提示額の妥当性を判断してもらう。
または、被害者が考える賠償額を弁護士から保険会社に請求してもらう、といったケースである。
最近では多くの保険に弁護士特約が付いているため、これまで以上に弁護士を使った交渉が容易になっている。
他方、多くのドライバーが任意保険に加入しているため、交通事故の加害者となった場合、任意保険の保険会社が事故対応を行うことになる。
したがって、保険会社が被害者と交渉できない場合や、加害者が任意保険に加入していない場合など、弁護士が加害者(保険会社)の代理人となるケースは、被害者の代理人となるケースより圧倒的に少ない。
本書では、そうした加害者の代理人となった弁護士、または保険会社の社員が被害者からの過剰請求にどのように対応するのか、が解説されている。
もっとも、被害者側と加害者側の区別は、一つの交通事故の両側面であるため、損害額の算定等においては結局同じ基準やルールが適用される。
加害者側に被害者側と異なる基準やルールがあるわけではない。
とすれば、本書もその内容において既刊の交通事故の解説書と大きく異なることはない。
もっとも、交通事故の被害者との想定問答や、被害者からの請求が過剰請求にあたるか否かの調査方法など、損害保険会社の担当者に有益な解説が多数記載されており、その限りで「加害者側の立場に立った唯一の解説書!」であると言える。
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