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【きっと今までになかった 相続の権利調整を考える本】

税理士 田中潤 2015年 歴史探訪社

 

少し変わった内容の相続に関する書籍。

まずは発行元の歴史探訪社。

法律や税務関係であまり目にしない発行元。

実は著者の田中税理士、犬懸坂祇園のペンネームで「鎌倉地図草紙」、「横濱地図草紙」といった横浜や鎌倉の今昔を写真やイラストで検証する著作がある。

どうもその流れで本業である相続に関する本書を歴史探訪社から出版したようである。

 

そして、本書の内容。

本書では、21世紀型の相続に備えた様々な対策等が解説されている。

田中税理士が考える21世紀型の相続とは次のようなものである。

被相続人は、長く生きた分だけ相続財産が増えている。

相続人もすでに「老後」が近づいており、自分の相続についても考えなければならない状況になっている。

少子化で夫婦間だけでの相続が増えると共に、残った一人が亡くなると相続人が兄弟姉妹になることも多くなっている。

また、その場合、後に亡くなったのが夫なのか妻なのかによって、結果的にすべての財産が夫の兄弟にいくのか妻の兄弟に行くのかの極めて大きな分かれ目が生じている。

 

「代々の家の相続」という考え方は、完全に消滅してしまうのである。

(本書1718頁)

 

読んでいて確かにその通りだと何度も首肯する。

相続セミナーにやってくるお客さんは70歳代、80歳代が中心。

中には家族に身体を支えられながら相続セミナーの会場にやってくるお年寄りもいる。

 

そうしたお客さんを見ると、老老介護ならぬ老老相続といった言葉が思い浮かぶ。

相続人が認知症となり遺産分割協議が中断するといったことも少なくない。

こうしたケースが増える中、本書の相続に関する考え方は斬新で、その対策も目新しいものが多い。

読んで非常に参考になった一冊である。

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