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【塩漬けになった不動産を優良資産に変える方法】
相馬耕三 2014年 幻冬舎メディアコンサルティング
初めて本書を手に取った時、出版元を見て不動産業界の人間が自己宣伝で書いた書物かと思った。
しかし、さにあらず。
著者の相馬耕三氏は、慶應義塾卒業後、当時の三菱信託銀行に入行し、その後、米国三菱信託銀行の会長兼社長まで登りつめた人物。
そうした略歴を知って本書を読むと、有難味が増すのがふしぎ。
何と経歴に弱いのか、自分でも少し嫌になる。
さて、本書では、数多くのステークホルダーが存在する古い分譲マンションやテナントビル、高値掴みして多額の債務が残るマンション、いびつな土地など、普通なら塩漬けにするしかない不動産が有効活用された事例が多数紹介されている。
弁護士の元にもこうした塩漬け不動産に関する相談が寄せられることがあるが、多くの場合現状維持の様子見となり、おおよそ有効活用に結び付かないで終わってしまうことが多い。
弁護士は不動産に関する専門家ではないと言えばそれまでだが、塩漬けになっている原因が法律問題に行き着くことも多々あり、弁護士が期待されている役割を果たしているとは言い難い。
破産管財事件における不動産任意売却のように、ある程度場数を踏まないとスムーズに処理できないケースも多々あるが、まずは本書のような指南書でしっかりと勉強してから事件処理に臨みたい。
著者の華やかな経歴を別にしても参考になる一冊だった。
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