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【トッカン 特別国税徴収官】高殿円 2012年 ハヤカワ文庫

 

相続や相続税の対策を主たる業務とする弁護士として、やはり相続税を始めとする税金に関する専門書は、かなり読み込んでいる方です。

相続税の通達集、同業の弁護士や税理士が執筆した相続税の専門書などは、時間が許す限り目を通すようにしています。

一方で、専門書だけでなく、税務署が舞台となる小説や映画も少なくありません。

国税局(ホンテン)査察部が舞台となった「マルサの女」などは、そうした作品の中でも秀逸でした。

 

そうした作品の中で、本書は久しぶりのヒットでした。

主人公は新米の特別国税徴収官(トッカン)の女性。

所轄の京橋税務署(シテン)に勤務し、上席のトッカン付として、国税徴収法を駆使して未納となっている税金を徴収するのが主たる仕事です。

税金を徴収する相手は、海千山千のツワモノたちばかり。

フェラーリを乗りまわし、1頭100万円もする愛玩犬を飼育しているのに税金を納めない会社の社長に対するS(エス=差押え)のシーンから一連のお話がスタートします。

 

主人公の上席は「死に神」と異名をとる徴収のプロ。

主人公は、上席の強引なやり方に反発を覚えながらも一つ一つトッカンの仕事を覚えていきます。

 

本書の前半では、税金の徴収を免れるため、なにふりかまわず抜け道を探す納税義務者とトッカンの闘いが描かれています。

国税徴収法の専門的な知識も出てきて弁護士や税理士としても勉強になりました。

後半では一転して主人公の新米徴収官の人間的な成長が描かれます。

父の反対を押し切って国税庁に仕事を求めたにもかかわらず、徴収先の商店主などから罵詈雑言を浴びせられる毎日。

主人公は仕事に対する意義を見いだせないまま惰性で毎日を過ごしています。

それが、ある事件をきっかけに父や上席と心が通じ合い、仕事に対する意義も見つけることができるようになる。

 

本書は移動時間の新幹線や電車なのかで読んだのですが、何度も目頭が熱くなることがありました。

弁護士や税理士はもちろん、税金などに関心のない方が読んでも十分に楽しめる一冊でした。

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