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家事審判による子の引渡請求

 

家事審判法は、民事訴訟法の特別法になるため、家事審判法に定める手続きについては家事審判法が民事訴訟法に優先します。

家事審判法による子の引渡請求の態様には、①子の監護に関する処分における子の引渡審判、②親権者・監護権者の指定・変更の審判事件における付随的処分としての子の引渡命令、③離婚訴訟判決の親権者指定の付随的処分としての子の引渡命令、があります。

 

このうち、②監護権者指定の申立ては、子の引渡しを主たる目的として申し立てられることがあり、この場合家庭裁判所は、監護権者としての適格性が認められれば、子の引渡請求を認容することになります。

 

監護権者としての適格性判断においては、「子の利益」に適うのかを基準に判断されます。

具体的には、①監護の継続性(現状の尊重)、②主たる養育者の尊重、③子が乳幼児の場合における母性優先、④兄弟不分離、⑤子の意思の尊重、⑥面会交流の実現可能性、などおにより判断されます。

 

保全処分

 

家庭裁判所は、子の監護に関する審判又は調停の申し立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は子その他の利害関係人の急迫の危険を防止するために必要があるときは、申立をした者の申立てにより、当該事項についての審判を本案とする仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命じることができます(家事事件手続法157条1項)。

具体的には、子を連れ去った父が、子を連れて海外に渡航することを計画している場合などが該当します。

なお、家庭裁判所は、仮の地位を定める仮処分を命じる場合には、審判を受けることになる者の陳述を聴取する必要があります。子が15歳以上のときも同じく陳述を聴取します。

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