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ショージ君(東海林さだおさんのことです。念のため。)ではないが、定食屋で食事をすると落ち着く。

気取ったこじゃれたお店での食事とちがって、いらない気を遣わず、素の自分のままで食事ができる。

いらない気を遣わないので、フツーの料理がフツー以上に美味しく食べることができる。

できるのことなら、外での食事は何時も定食屋で済ませたいとすら思う。

 

そうした定食屋であるが、わたくしの若いころは、そこそこ大きな駅の近所には定食屋をいくつも見つけることができた。

しかし、定食屋は現在、絶滅危惧種となりネットで探してもなかなか見つけることはできない。

ましてや、昔のようにふと降り立った駅前でたまたま見つけた定食屋ののれんをくぐる、みたいなことは、まず、なくなってしまった。

というわけで、定食屋に行きたくなったら予め下調べをしてから出かけるようになってしまったのである。

 

今回行ってきた「お食事処まつもと」さんは「京都・定食屋・洋食」で検索して見つけたお店である。

お店があるのは五条東洞院の交差点を少しばかり南に下がっところにある。

開店時間の午前11時半にお店に入るとすでにお客さんでほぼ席が埋まっており、かろうじて空いていた4人掛けのテーブルに案内してもらう。

 

 

メニューを見ると洋食のセットなどおいしそうな料理がありそうだけれど、お水を持ってきたお母さんは「今日の日替りはチキンカツです!」と日替わり推しのようである。

周りのお客さんもほとんどが日替わりのチキンカツを頼んでいるようだ。

お店が込み合っているこうした状況で一人だけ違う料理を注文すると間違えなく時間がかかるだろうなと思い、わたくしも日替わりのチキンカツを注文することにした。

それにしても人気のあるお店である。

わたくしが最後に空いていたテーブルに座った後もお客さんが詰めかけてきて、お店の外はちょっとした黒山の人だかり状態になっている。

 

この日はたまたま事務所に勉強に来ていた司法修習生と一緒なので相席にはならなかったけれど、一人客は相席当然のお店である。

相席については、特に若い子にネガティブな意見が多いような気がするが、わたくしとしては相席大歓迎である。

お客さんが待っているような込み合った店内で、相席も案内されずに一人で四人掛けのテーブルで食事をしている状況はツライと思うのである。

 

さて、そうこうするうちに私と司法修習生の前には日替わりのチキンカツが運ばれてきた。

揚げたてアツアツの大ぶりなチキンカツにはデミソースがかけ回されている。

ご飯も、こうした定食屋にありがちなべちゃっとしたものではなく、粒が立った元気いっぱいのご飯である。

 

 

さっそくチキンカツを頬ばると、嗚呼、揚げたてチキンカツの旨味が口中一杯にひろがる。

頼んでよかったチキンカツ、である。

周りのサラリーマンもみんなウマそうに日替わりチキンカツを食べている。

しかし、よく見るとおばさん一人客のところにだけ料理が届いていない。

このおばさんは、私たちがお店に入った時点ですでに着席していたので、日替りを注文していたのであればすでに料理が届いているはずなので、ひとりだけ違った料理を頼んだようである。

見るともなしにおばさんの様子を観察していると、わたくしたちが食事を終えるころ、やっと注文した料理が運ばれてきた。

運ばれてきたのはエビフライ定食。

こちらのおばさん、大勢の流れに逆らってまでもエビフライ定食食べたかったのであろう。

だけど、そのせいで一人だけ周回遅れ、いや、二周回遅れとなってしまったのである。

やはり込み合うお店での料理の注文は「流れ」が大事である。

 

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