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破産債権・財団債権に基づく破産財団所属財産に対する強制執行の禁止・失効

 

破産手続の開始決定があった場合、破産債権に基づく破産財団に属する財産に対する強制執行(仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行、企業担保権の実行等)は禁止されます。
(破産法42条1項)

 

既になされていた破産債権に基づく破産財団に属する財産に対する強制執行(仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行、企業担保権の実行等)は、「破産財団に対しては」効力を失います。
(同条2項)

また、財団債権に基づく破産財産に属する財産に対する強制執行についても、同様に禁止・失効することになります。

 

強制執行の相対的無効

 

破産財団に属する財産に対する強制執行は「破産財団に対しては」効力を失います。

したがって、破産管財人は、既に破産財団に属する不動産に不動産強制競売の開始決定による差押登記がなされていたとしても、差押登記がないものとして不動産を換価することができます。

 

国税滞納処分と破産手続開始決定の関係

 

国税滞納処分とは、国税債権の強制的な実現を図るために、滞納者の財産を差し押さえ、これを公売することにより未納税額に充当する行政処分です。

破産手続開始決定があった場合は、破産財団に属する財産に対する国税滞納処分は禁止されます。
(破産法43条1項)

 

一方、破産手続開始決定前に、破産財団に属する財産に対して国税滞納処分がなされていた場合は、当該滞納処分の続行は妨げられません。
(同条2項)

国税の徴収権者(国)は、実体法上、自ら強制処分等を行うことができる自力執行権や、優先徴収権を有しているためです。

 

破産手続開始決定前に強制執行が終了している場合

 

破産手続開始決定前に、既に強制執行が終了している場合は、強制執行は破産手続開始決定の影響を受けず、遡って強制執行の効力が失効することもありません。

破産手続開始決定前に差押債権者による取り立て、強制競売による配当が行わていた場合、破産管財人は取り立てや配当に係る金員の返還を求めることはできません。

 

もっとも、破産管財人の否認権は、「その行為が執行行為に基づくものであるときでも、行使することを妨げない」とされているため、強制執行も対象となります。
(破産法165条)

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