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扶養義務等に係る定期金債権を請求する場合の特例
養育費や婚姻費用を義務者が支払わない場合、権利者は債務名義を得る等して義務者の財産を差押えることになります。
しかし、請求が確定期限の到来にかかる債権では、その期限が到来するまでは強制執行を開始することができないのが原則です。
(民事執行法30条1項)
これを養育費や婚姻費用の支払にそのまま当てはめると、権利者は義務者が不払いをする都度、強制執行するか、不払額がある程度まとまってから強制執行をする必要が生じます。
そもそも養育費や婚姻費用は、権利者の生活を維持するために不可欠なものであり、不払額がまとまるまで強制執行ができないとなると、権利者に経済的な困難を強いることになります。
そこで養育費や婚姻費用といった扶養義務等に係る定期金債権については、その一部が不履行となれば、まだ期限が到来しない定期金についても一括して、義務者の給料等継続的給付にかかる債権に対する強制執行ができることとされています。
請求債権に関する要件
特例の対象となる請求債権は、次の定期債権で、確定期限のあるものに限られます。
① 夫婦間の協力扶養義務(民法752条)
② 婚姻費用分担義務(同760条)
③ 子の監護費用分担義務(同766条等)
④ 扶養義務(同877条乃至880条)
この特例で強制執行を開始するには、各定期金債権の一部に不履行があることが必要です。
不履行がない場合や、過去に不履行があっても既にその弁済を済ませている場合は強制執行をすることはできません。
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