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日常家事債務
「夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。」とされています(日常家事債務 民法761条)。
どの様な債務が日常家事債務に含まれるのかについては、「当該夫婦の社会的地位・職業・資産・収入等によって、また、その夫婦が生活する地域の習慣によって異なる」とされています(新版注釈民法21)。
過去に裁判例等で日常家事債務と判断されたのは次のようなものです。
〇家庭用の食料品・衣料品の購入契約
〇家庭用光熱費債務
〇夫婦が暮らす住居の賃料債務
〇夫婦の一方の医療費・子の医療費
(夫婦の一方の医療費については婚姻関係が破綻して離婚した場合にも含まれると判断されています)
〇子の学習教材費に関する債務
他方で日常家事債務に含まれないと判断されたのは次のようなものです。
△夫婦の一方が他方名義の不動産に担保権を設定したり譲渡すること
△借財
△他人の債務について保証契約を締結すること
△夫婦で同居する建物の賃貸借終了後明渡までの損害金
婚姻前の債務を夫婦の一方が婚姻中に返済した場合
婚姻前に夫婦の一方が負った債務については、原則として財産分与の問題は生じません。
離婚後も当該一方が債務を返済し、他方が債務を負担することはありません。
もっとも、婚姻前の夫婦の一方が負った債務を、婚姻中に他方が返済した場合、その協力を離婚後に清算的財産分与で考慮することができるのか、問題となることがあります。
夫が婚姻の約5か月後に勤務先のお金約230万円を使い込んだため、妻が自らの給料で返済した事例において裁判所は、一切の事情を考慮して、財産分与として返済額の半分である115万円について財産分与を認めました。
(名古屋地判昭和49年10月1日)
上記裁判例は婚姻後に生じた夫の債務を妻が返済した事例ですが、夫の債務が婚姻直後に生じたものであるため、婚姻前の債務を婚姻後に返済した場合も、当該返済額が財産分与において考慮される可能性はあると思われます。
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