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過去の養育費の請求
養育費の請求の始期については、
①扶養権利者が扶養を請求したり、扶養を受ける意思を明確にした時点で義務者の扶養義務が具体化するとして、養育費を請求した時点からとするものと、
②扶養権利者の要扶養状態という事実があれば扶養義務が具体化するとして、過去に遡って養育費の請求ができるが、扶養義務者に多額の負担を命じることが公平に反する場合は相当な範囲に限定する、
という異なる考え方にたつ、それぞれ複数の審判例があります。
②の審判例は、親であれば未成熟子が要扶養状態にあることは分かる以上、請求時以降に養育費の負担を限定する必要はないと考える立場です。
このように審判例が分かれているため、過去の養育費を遡って請求できるかについては事案によって判断されることになります。
そこで養育費を出来るだけ多く請求するためには、離婚時に養育費を負担について取決めを行っておく必要があります。
また、養育費の取決めをせずに離婚した場合は、早期に養育費の請求をする必要があります。
なお、婚姻費用の負担については、調停又は審判の申立時がその始期とされるのが一般的です。
養育費を支払わない相手方の面会交流を制限できるか
離婚の際、離婚相手の養育費支払いが滞った場合、離婚相手と子の面会交流を制限するような契約はできるのでしょうか。
面会交流をいわば人質にして養育費の支払いを確保したいという気持ちはわかりますが、養育費の支払いは親の扶養義務の履行であり、面会交流とは直接関係ありません。
面会交流はあくまで子の健全な発達のために行うものである以上、養育費の支払いをその要件とすることはできないと考えられています。
公証人事務においても、養育費の支払いを面会交流の条件とするような公正証書は作成してもらえないようです。
養育費を0とする合意は有効か
養育費の合意は、当事者間の監護費用の分担をどうするかの決定であり、養育費をゼロとする合意も、法律的に無効になることはありません。
しかし、子の扶養を受ける権利は、親が勝手に放棄することができないため、親同士で養育費を請求しない約束をしていても、子は親に扶養料を要求できます。
したがって、離婚の際に母親が養育費を放棄したとしても、親権者となった母親は、子を代理して養育費を父親に請求することができます。
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