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婚姻費用分担の始期
婚姻費用が何時から請求できるのかについては、次のような裁判例があります。
①要扶養状態発生時(東京高決昭和42年9月12日ほか)
②要扶養状態を知りえた時期(広島高決昭和50年7月17日ほか)
③別居時(大阪高決昭和59年12月10日ほか)
④婚姻費用の分担請求時(大阪高決昭和43年10月28日ほか)
⑤調停・審判の申立時(大阪高決昭和62年6月24日ほか)
現在の実務では、婚姻費用の分担請求は請求時以降とするものが大半です。
ここに請求時とは、調停や審判の申立時だけではなく、それ以前に事実上請求していれば、その請求時点が始期となります。
内容証明郵便によって婚姻費用の分担を請求した場合は、その時期が始期となるという裁判例もあります(東京家審平成27年8月13日)。
過去に遡って請求することの可否
請求時点より過去に遡って婚姻費用の分担請求を認めると、その期間によっては義務者が一時に支払う金額が多額になるなど、義務者にとって過酷な結果となります。
また過去に遡って婚姻費用の請求を認めなくても最終的に財産分与で清算することも可能です。
したがって、一般的には過去に遡っての婚姻費用の分担請求は認められません。
一方で、義務者の収入や資産からみて過去に遡って婚姻費用の分担を認めても過酷とはならずその分担を免れさせることが著しく公平に反する場合や、義務者が権利者の要扶養状態を知りながら権利者の婚姻費用の分担請求を妨げた事情がある場合などには、過去に遡っての請求が認められる場合があるといわれています。
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