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自宅の売却
自宅を売却して、その代金を財産分与の対象とする場合、売却代金がそのまま財産分与の対象となるわけではありません。
住宅ローンが残っている場合は、その残債務を売却代金から控除する必要があります。
また、自宅を売却すると、不動産業者に支払う仲介手数料、登記費用(司法書士の費用、登録免許税等)、契約書に貼付する印紙代等が必要となります。
さらに、売却できた金額次第では譲渡所得税が課税される場合があります。
したがって財産分与の対象となるのは、売却代金からこれら費用を控除した残額になります。
頭金に一方の特有財産が使用されている場合
自宅の頭金として一方の当事者の特有財産(独身自体の貯金など)が使用されている場合があります。
こうした場合に、頭金を出した当事者が、自宅の評価額から頭金の額を控除した残額を財産分与の対象にするという主張がなされることがあります。
しかしながら自宅は、購入してから売却するまでの間使用するため、その価値は下落することが一般的です。
であるにもかかわらず、離婚時に頭金相当の金員を、それを出した当事者の特有財産として認めることは当事者間の公平を害することになります。
この問題については、自宅の評価額から、取得価額に占める特有財産が原資とされた割合を控除して、夫婦の実質的共有部分を算出した裁判例があります。
(大阪高判平成19年1月23日)
この裁判例の考え方では、自宅取得時の頭金の価値を現在の自宅の評価額にスライドさせることになるため、当事者にとって公平は清算的財産分与が実現できます。
この裁判例に拠れば、財産分与の対象となる額は次のとおりです。
財産分与の対象となる額=現在の自宅の評価額×(1-特有財産の額/取得額)
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