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義務者に債務がある場合

 

養育費や婚姻費用の算定において、義務者(支払う側)に債務があると、義務者側から債務を考慮して養育費や婚姻費用を算定して欲しいといった要望が出されることがあります。

しかしながら、債務の支払いを扶養義務に優先させることは適当ではないため、債務を養育費・婚姻費用算定における特別経費に含めることは行なわれていません。

 

他方で、その債務の発生原因が共同生活に関するものである場合(婚姻期間中に購入した車のローン等)、別居後にこれを一方だけが負担することは公平とはいえません。

そこで、共同生活に関して生じた債務については、養育費・婚姻費用の算定の際に考慮されることがあります。

 

義務者が働けるのに働いていない場合

 

無職で収入がない場合は、原則として収入はゼロとなります。

一方で、働く能力がある場合は、潜在的稼働能力があるものとして収入を認定することもあります。

 

具体的には賃金センサス等を用いて収入を推計することがありますが、定職について働いた経験がある場合と、そうした経験がない場合では、賃金センサスの適用区分を分けたりします。

賃金センサスとは、賃金構造基本統計調査のことで、労働者の種類,職種,性別,年齢,学歴,勤続年数,経験年数に応じて、それぞれの平均賃金を算出したものです。

後者の場合は、短時間労働者の性別・年齢別の年間収入によって推計することになります。

 

義務者の収入が不明な場合

 

義務者が源泉徴収票や確定申告書等の提出を拒み、その結果義務者の収入が明らかにならないことがあります。

こうした場合に備えて、権利者が、義務者の源泉徴収票等を同居している時に予め確保しておきます。

 

また、そうした事前の準備がない場合、裁判所から勤務先に調査嘱託をして年収を調査したり、あるいは賃金センサスによって収入を認定することがあると説明することで、義務者から任意で源泉徴収票の提出を受けられる場合があります。

 

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