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DV防止法
DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)では、配偶者からの暴力を「身体に対する暴力又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動」と定義しています。
したがって、身体に対する直接の暴力だけではなく、被害者の「心身に有害な影響を及ぼす言動」についても、その規制の対象に含めています。
モラハラは、この被害者の心身に有害な影響を及ぼす言動に該当することになります。
保護命令を申立てることができる「被害者」とは、「婚姻中」に配偶者から身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫を受けた者となります。
したがって、婚姻中に暴力等を受けた者は「被害者」といえますが、婚姻中には暴力等を受けたことがなく、離婚後に初めて元の配偶者から暴力等をを受けた場合は「被害者」にあたらず、保護命令の申立ができません。
保護命令の申立
管轄
保護命令を申立てる裁判所の管轄は、
①相手方(加害者)の住所地を管轄する地方裁判所
②申立人(被害者)の住所地を管轄する地方裁判所
③暴力が行われた地を管轄する地方裁判所
いずれにも申立をすることができます。
申立書面
保護命令の申立は書面で行います(DV防止法12条)。
申立書面は裁判所のホームページからダウンロードできます。
申立書や添付書類等は相手方が閲覧や謄写(コピー)することができます。
申立人が避難先等の住所を秘匿している場合は、従前の住所を記載する必要があります。
「申立の趣旨」では、いずれの保護命令(退去命令、接近禁止命令、電話等禁止命令、子への接近禁止命令、親族等への接近禁止命令)を申立てるのかチェックします。
「申立の理由」では、
①申立人と相手方の関係
②既に発令された保護命令事件がある場合はその事件番号等
③相手方から受けたな身体に対する暴力や生命等に対する脅迫の内容
④相手方から更に暴力を振るわれて,生命,身体に重大な危害を加えられると考える理由
⑤子への接近禁止命令を申立てる場合は相手方が子を連れ戻すと疑うに足りる相手方の言動等
⑥親族への接近禁止命令を申立てる場合は親族が相手方と面談を余儀なくされると考える理由
⑦申立人が援助や保護を求めた配偶者暴力相談支援センターや警察
等を記載します。
提出資料
申立ての事情を裏付ける資料を提出します。
具体的には、相手方の暴力によりケガをした際の診断書や写真、暴力を受けた際の詳細な陳述書を提出するようにします。
裁判所の審尋
申立てが受理されると速やかに申立人への審尋が行われます。
その後、相手方に申立書等が送付され、一週間から10日程度で相手方の審尋が実施されます。
保護命令の言い渡し
保護命令は相手方が審尋期日に出頭した場合、その場で言い渡されます。
相手方が出頭しない場合、決定書が相手方に送達されることによって効力が生じます。
審尋における相手方の主張について
審尋において、時に相手方が暴力を正当化しようとして、暴力に至る経緯を滔々と説明することがあります。
申立人の言動を非難して、暴力をふるうことも当時の状況ではやむを得なかった、といった話です。
しかし、こうした相手方の主張は、保護命令の発令に影響をあたることはまずありません。
DV防止法の要件は「配偶者からの身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫」を受けたことであり、「ただし、身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫に相当な理由がある場合はこのかぎりではない。」といった但書はありません。
相手方の暴力の理由の如何を問わず条文に規定された暴力や脅迫があると保護命令は発令されます。
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