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養育費に関する取決め
未成年の子がいる夫婦が離婚をする場合、養育費支払の取決めをしている夫婦は半分以下といわれています。
さらには、養育費の取決めをしていた場合でも、実際に養育費を約束どおりに支払ってもらえているのは3割程度ともいわれています。
したがって、離婚に際して養育費支払の取決めをしても義務者の財力によっては、権利者は養育費の支払を受けられないことがあります。
しかし、そもそも養育費支払の取決めをしないで離婚をすると、離婚後に養育費を請求するのはさらに大変です。
相手方を探し出して養育費支払の交渉を行い、必要に応じて家庭裁判所の調停手続、審判手続を利用することになるため、やはり離婚時に養育費の取決めはしておくべきです。
養育費の一括受取の必要性
離婚時や離婚後に養育費の取決めをしても、その後、義務者の経済状況が悪化したり、義務者が再婚したり、あるいは義務者が変心して養育費の支払が途中から途絶えることがあります。
子が小さい時に離婚して、養育費の支払が直ちに途絶えてしまうと、権利者はほとんど養育費の支払を受けることができません。
支払を行わない義務者に対しては、家庭裁判所の履行勧告、履行勧告が功を奏さない場合の仮差押えといった手続がありますが、その時点で義務者の経済状況が悪化していると、やはり養育費を確保することは困難となります。
そこで権利者から、何とかして養育費全額を一括して受取れないかといった相談が寄せられることがあります。
養育費の一括受取と税金
養育費の一括受取については、そもそも義務者が支払原資を確保できるのかといった問題があります。
数百万円、場合よっては数千万円の養育費を一括で支払うことができる事務者はそう多くはありません。幸い、義務者に資力があり、かつ、養育費の一括支払いに応じた場合も権利者は税金のことを考える必要があります。
相続税の財産評価基本通達によれば、相続税法21条の3第1項2号で贈与税が非課税となる「生活費」、「教育費」とは、次のとおりです。
「生活費」とは、その者の通常の日常生活を営むのに必要な費用(教育費を除く)をいい、治療費、養育費その他これらに準ずるものを含むものとして取り扱うものとする。
(財産評価基本通達21の3-3)「教育費」とは、被扶養者の教育上通常必要と認められる学資、教材費、文具費等をいい、義務教育費に限らないのであるから留意する。
(財産評価基本通達21の3-4)
一方で、養育費を一括で受取り、それを預貯金した場合については次のような取扱いとなります。
生活費又は教育費の名義で取得した財産を預貯金した場合又は株式の購入代金若しくは家屋の買入代金に充当したような場合における当該預貯金又は買入代金等の金額は、通常必要と認められるもの以外のものとして取り扱うものとする。
(財産評価基本通達21の3-5)
したがって、養育費を一括で受取り、それを預貯金とした場合、贈与税の非課税財産に当たらなくなる結果、贈与税が課税されます。
ちなみに養育費1000万円を単年度で贈与された場合の贈与税額は231万円、2000万円を贈与された場合の贈与税額は695万円です。
(いずれも受贈者が20歳未満の場合)
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