解決事例
(実際の事件の一部を修正してご紹介しています)
離婚の相談に来られたA子さんは、現在夫のBさんと二人暮らし。
3人の子どもは全て独立して家庭を持っています。
A子さんは結婚した当初からBさんの浮気に悩まされてきましたが、それでも子どもが結婚するまではと、これまでは夫の浮気に目をつぶってきました。
しかし、子どもが全て独立し、Bさんがまもなく勤め先を定年退職するので、この機会にきっぱりとBさんと離婚しようと決めたそうです。
二人は数年前から家の中で顔を合わせても口をきくことがなく、Bさんは食事を外食かコンビニで買ってきた弁当などで済ませる等、いわゆる家庭内別居の状態でした。
そうした状況の中、A子さんはあるとき、思い切ってBさんに離婚話を切り出してみました。
A子さんは話の途中で感情が高ぶり、嗚咽を漏らしながら離婚を決意した理由をBさんに話しましたが、Bさんは終始無言だったそうです。
それから1週間ほどしてA子さんが帰宅すると、居間のテーブルの上にBさんの署名押印がある離婚届と、「慰謝料として100万円を支払う」と書いたレポート用紙が置かれていました。
A子さんの相談は、Bさんが置いて行った離婚届に証人を探したうえで自分も署名押印して区役所に提出して離婚をしても大丈夫か、というものでした。
A子さんへの回答はずばり「大丈夫ではありません」でした。
A子さんに離婚後の生活プランについて確認すると、パートの仕事を探して働けば、自分の貯えと年金分割で生活ができると考えているようでした。
しかし、給料の保障がない日給月給の仕事ではA子さんが体調を崩してしまうとたちまち生活が立ちいかなくなります。
またA子さんの年齢では年金を受給するまでずいぶん時間があり、またそれだけで生活ができるほどの年金は期待できませんでした。
そこでA子さんには離婚をする前に財産分与を請求するようにアドバイスしました。
A子さんは、自分が話してもBさんは財産分与に協力しないと不安を感じている様子だったので、調停の利用を勧めました。
調停を利用すれば、調査委員が当事者から話を聞いて話し合いを進めてくれることが期待できます。
また財産分与は、たとえ調停が不成立になっても審判に移行することになっています。
次に、「慰謝料として100万円支払う」と書かれたレポート用紙は、そもそも誰が、誰に対して、いつまでに、100万円を支払うのか明確ではありません。
後にBさんが翻意して100万円の支払いを拒絶した場合、A子さんは改めて支払いを求めて訴訟等を提起する必要があるばかりではなく、訴訟においてもこのレポート用紙がどれだけの証拠力を有するのかはなはだ心もとない限りです。
そこで慰謝料についても、調停で財産分与と一緒に協議するか、執行認諾文言付の公正証書の作成を助言しました。
執行認諾文言付公正証書を作成しておけば、仮にBさんがその後翻意しても、当該公正証書を債務名義としてBさんの財産を差押えることができます。
A子さんはこうした助言をノートに丁寧に書き留め、まずは自分で調停を申立ててみると言って帰って行かれました。
本件はその後、A子さんから改めて調停手続の代理人の依頼がありました。
A子さんが当事務所に依頼したのは、Bさんが適切に財産分与の対象財産を開示しているのか、開示された財産をどのように評価したらいいのかについて助言した欲しいといった理由でした。
依頼いただくま4回ほど調停期日があり、そこから更に3回の調停期日でA子さんは適切な財産分与を受けてBさんと離婚ができました。
A子さんが最初に相談に見えられてから離婚するまで1年ほどでした。
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