解決事例
(実際の事件の一部を修正してご紹介しています)
顧問先の社長から、夫から離婚を請求されている親戚のA子さんの相談にのってほしいとの連絡がありました。
A子さんは京都から新幹線で2時間ほどかかるところに住んでいたため電話をすると、現在夫のBさんとは別居中で、子のC君はBさんが実家に連れて帰っているとのことでした。
A子さんの希望は、①Bさんとは離婚しない、②C君とはできるだけ早く会いたい、というものでした。
遠方のため、事情はできるだけ電話で聞きとって文書化し、後でメールでA子さんに送信して確認してもらい、聞き取り内容に間違いがないか確認しました。
A子さんから聞き取った限りでは、離婚原因はなく、たとえBさんが離婚を求めても応じる必要はなさそうでした。
もっとも離婚事件は一方の当事者の話だけを聞いても真相が分からないことが多いため、A子さんにはBさんから書面等が送られてきたら連絡するように伝えました。
また、C君との面会を早期に実現するには、Bさんの協力が得られない以上、調停を申立てることをアドバイスして一旦相談は終わりました。
それから約一月後、A子さんから、Bさんが離婚調停を申立てたので代理人になって欲しいとの連絡がありました。
遠方のため少し躊躇しましたが、顧問先の社長の紹介でもあり、A子さんには交通費の負担についての了解を得て代理人となりました。
代理人となって、早速A子さんが申立人となってC君との面会交流調停を申立てました。
面会交流の調停は離婚の調停と併合され、一緒に手続を進めることになりました。
調停ではA子さんとBさんの主張は平行線で、離婚については早々に調停不成立となり、A子さんとC君の面会交流について家庭裁判所調査官を交えてその実現方法を協議することになりました。
面会交流調停がある程度進んだところで、今度はBさんが婚姻費用の調停を申立ててきました。
現在支払っている婚姻費用が高いので減額して欲しいというのがその趣旨でした。
婚姻費用の調停は面会交流の調停と併合され、両者が一緒に話し合われることになりました。
結局、Bさんが最初に調停を申立ててから1年半かかって調停は終了し、A子さんとC君の面会交流は認められる一方、Bさんの婚姻費用の減額もある程度認められました。
その間3か月に2度程度の間隔で遠方の家庭裁判所に出向きましたが、移動時間もあり、また地方の家庭裁判所ゆえ調停の時間もたっぷりとれるため(他の事件が少ない)、調停のある日は一日仕事でした。
それからしばらくすると、BさんはA子さんとの離婚を求めて訴訟を提起してきました。
訴訟では裁判官が早々に弁論準備手続に付してくれたため、京都の事務所から電話で裁判手続に参加しました。
Bさんの主張は、①A子さんは家事や育児の怠慢があるため婚姻を継続し難い重大な事由がある、②以前離婚について話し合ったときにA子さんは離婚に同意した、というものでした。
被告であるA子さんの代理人として、Bさんの主張を覆す主張を証拠を提出し、最後は当事者双方の尋問手続となりました。
尋問は半日がかりで行われ、A子さんへの主尋問、Bさんの反対尋問を通じて、A子さんの主張を補強し、Bさんの主張を弾劾しました。
そして判決。
判決日の2日後に特別送達された判決には原告であるBさんの請求を棄却すると書かれていました。
その後Bさんは控訴せず判決は確定しました。
A子さんは現在もC君と面会交流を続けていますが、今後Bさんとの関係をどうしたいのか、ご本人も考えがまとまらない様子です。
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