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婚姻費用や養育費を決めるにあたり裁判所では算定表が参考にされます。
算定表では、権利者(婚姻費用は養育費を受取る人)と義務者(これらを支払う人)の総収入によって婚姻費用や養育費の具体的な金額を決めていくことになります。
それでは、権利者や義務者の総収入はどのように認定されるのでしょうか。
給与所得者の総収入
発生義務者が給与所得者の場合、直近の源泉徴収票や課税証明書によって総収入を認定します。
もっとも源泉徴収票や課税証明書は、前年度の総収入を明らかにする資料です。
そこで、支払義務発生時点の総収入が前年度と異なる場合は、直近3か月分の給与明細等で総収入を認定することもあります。
自営業者の総収入
自営業者の場合は、確定申告書の「課税されるべき所得金額」が総収入にあたります。
もっとも「課税されるべき所得金額」は、税法上、種々の観点から控除がなされています。
そこで、実際の支出を伴わない①青色申告特別控除、②雑損控除、③寡婦寡夫控除、④勤労学生障害者控除、⑤配偶者控除、⑥配偶者特別控除、⑦扶養控除、⑧基礎控除については控除しません。
⑨専従者給与が計上されている場合も、実際には給与が支給されていない場合は控除しません。
さらに、⑩医療費控除、⑪生命保険料等控除についても、標準的な保険医療費等は既に特別経費として控除されているので控除しません。
給与所得と事業所得がある場合
この場合、収入を給与所得か事業所得にそろえて合算します。
たとえば、給与所得が1,000万円、事業所得が1,000万円の場合。
給与所得1,000万円に対応する事業所得は710万円です。
そこで710万円と300万円を合算して収入を1,010万円とします。
義務者が働けるのに働いていない場合
無職で収入がない場合は、原則として収入はゼロとなります。
一方で、働く能力がある場合は、潜在的稼働能力があるものとして収入を認定することもあります。
具体的には賃金センサス等を用いて収入を推計することがありますが、定職について働いた経験がある場合と、そうした経験がない場合では、賃金センサスの適用区分を分けたりします。
後者の場合は、短時間労働者の性別・年齢別の年間収入によって推計することになります。
義務者が生活保護を受給している場合
生活保護は、国が困窮した人が最低限の生活を送れるように生活を保障するものです。
したがって、この場合、受給者は婚姻費用や養育費の分担義務を負いません。
義務者が失業保険を受給している場合
失業保険は生活保護と趣旨が異なるため受給者は婚姻費用や養育費の分担義務を負います。
その上で、受給者に必要な職業費を考慮して総収入の19~20%を控除します。
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