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2017年(平成29年)5月に成立した「民法の一部 を改正する法律」が、2020年(令和2年)4月1日から施行されます。
契約の成立一般
改正前
改正前の民法では、契約の成立一般について、明文規定が設けられていませんでした。
改正後
改正民法522条1項
契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下、「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
契約は、契約の申込みと承諾の意思の合致、すなわち合意によって成立することが明文化されました。
契約の成立には「契約の内容を示」すことが求められています。
したがって、具体的な内容を示さずに申込みがなされた場合、それは契約の申込みではなく、申込みの誘引と判断される可能性があります。
隔地者間の契約の成立
改正前
旧民法97条1項(隔地者に対する意思表示)
隔地者に対する意思表示は、その通知が相手方に到達したときからその効力を生ずる。
旧民法526条1項(隔地者間の契約の成立時期)
隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する。
隔地者間の契約の成立については、契約の申込みは、相手方に到達したときに効力が生じ、契約は相手方が承諾の通知を発した時に成立することになっていました(発信主義)。
しかし、相手方の承諾の意思表示が、契約の申込みをした者に到達しない場合については規定がありませんでした。
改正後
申込者が、契約の申込み後に死亡等した場合において、
①申込者が死亡等した場合は申込みは効力を有さない旨の意思表示をしていたか、
②相手方が承諾の通知を発するまでにその事実を知った時は、
申込みは効力を有しないことになりました。
民法526条(申込者の死亡等)
申込者が申込みの通知を発した後に死亡し、意思能力を有しない常況にある者となり、又は行為能力の制限を受けた場合において、申込者がその事実が生じたとすればその申込みは効力を有しない旨の意思を表示していたとき、又はその相手方が承諾の通知を発するまでにその事実が生じたことを知ったときは、その申込みは、その効力を有しない。
改正後は承諾の発信主義の条項が削除されたため、一般原則の改正民法97条により、隔地者間でも到達主義がそのまま適用されます。
したがって、申込者に対する承諾の通知が到達しない場合は、契約は成立しないことになります。
改正民法97条1項(意思表示の効力発生時期等)
意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
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