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1 相続税の納税方法
相続税は相続開始の翌日から10カ月以内に申告と納税をする必要があります。
10カ月以内に納税ができないと延滞税等の加算税が課せられる場合があります。
相続税は現金一括納付が原則です。
延納は現金一括納付が困難な事情がある場合、物納は延納で納付できない場合に限られます。
2 金庫株による納税資金準備
一方で、相続財産がほぼ自社株だけといったケースでは納税資金が準備できないこともあります。
そうした場合、金庫株によって相続税の納税資金を確保する方法があります。
平成13年の商法改正により、会社は自己株式を取得・保有することができるようになりました。
金庫株とは、会社が保有する自己株式のことです。
平常時、株主が会社に株式を売り渡すと、資本金等の額を超える部分の対価は、「みなし配当」として課税されます。
みなし配当課税は、配当控除後の最高税率が約49%となるため、非常に重い税負担となります。
他方で、
① 相続または遺贈により財産を取得し、相続税を納付する必要があること
② 相続税の申告期限後3年以内に譲渡すること
以上の要件を満たす者が、相続により取得した自社株を発行会社に譲渡した場合は、みなし配当課税ではなく、全額が譲渡所得として課税されます。
譲渡所得課税の税率は20.315%(復興特別所得税含)となるため、課税上有利となります。
したがって、相続した株式を金庫株にすることで納税資金を調達することができます。
さらには、譲渡所得の計算上控除できる取得費に、譲渡した株式に課された相続税額を加算することができます(相続税の取得費加算の特例)。
もっとも、会社に自己株式を取得する資金がなければこうした対策をとることはできません。
そこで解約返戻率の高い生命保険金等で、自己株式の取得資金の準備をしておく必要があります。
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