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【その死に方は、迷惑ですー遺言書と生前三点契約書】
本田桂子 2007年 集英社新書
本書では、行政書士である著者によって相続開始後の遺産分割に備える遺言書と、相続開始前に起こりうるであろう高齢者の財産管理や尊厳死に備えての生前三点契約書が紹介されている。
まず本書で紹介されているのが遺言書の効用。
多くの家庭では親が亡くなった後、残された相続財産をめぐって遺産分割で揉めることなど考えていない。
しかし相続財産の大半が親の暮らしていた自宅だけという場合、相続財産を子供たちが平等に分けることは非常に困難となる。
また、生前に親から援助を受けていた子どもと援助を受けていない子供がいる場合も、そうした援助を考慮した遺言書がないと遺産分割でもめることになる。
と、ここまでは遺言書の効能ということで数多くの類書がある。
本書では、こうした遺言書の効能に加え、相続開始前のトラブルに備えることができる生前三点契約書が紹介されている。
まずは財産管理等の委任契約書。
高齢となり障害や体力の衰えにより外出がままならない状況になった時、金融機関での様々な手続き等で財産管理等の委任契約書がいきてくる。
次に任意後見契約書。
認知症等により自ら財産管理ができなくなった時、予めお願いしていた任意後見人に財産管理等をお願いすることができる。
最後が尊厳死の宣言書。
延命治療が不要と考えるのであれば、予めそうした延命治療を受けないという宣言書がないと家族に過分な負担をかけることになる。
というわけで、本書では相続開始の前後で必要な書類が網羅されており、大変参考になった一冊である。
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