離婚・親権問題

  1. 配偶者・恋人から暴力を受けている。誰に相談すればいいの?……
  2. 配偶者・恋人が怖い!どうすればいいの?……

配偶者・恋人からの暴力について、専門家である弁護士が詳しく解説します。
配偶者、離婚した元配偶者、同棲している恋人から暴力や脅迫を受けた場合、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)による保護命令の申立を検討することも必要です。

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DV防止法による保護命令1・保護命令の要件

保護命令申立の要件(DV防止法10条1項本文)

1 加害者から身体に対する暴力又は生命に対する脅迫を受けたこと
加害者(配偶者、元配偶者(事実婚を含む)、平成28年から同棲中の恋人も含まれる)から身体に対する暴力又は生命に対する脅迫を受けたことが必要です。

「暴力」には有形力の行使(なぐる、ける等)のほか、「心身に有害な影響を及ぼす言動」も含まれます。

次に、暴行を受けた後に離婚した場合、離婚前に受けた暴力等を理由に保護命令の申立をすることはできますが、離婚後に受けた暴力等を理由に申立をすることはできません。

2 加害者からの更なる身体に対する暴力により、その生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいこと
これまで暴力を振るってきた夫が、しつこく妻に立ち回り先などで付きまとう場合などに「生命又は身体に重大な危害を受けるおそれ」が認められる。

 

DV防止法による保護命令2・保護命令の申立

保護命令の申立

1 管轄
相手方(加害者)の住所地を管轄する地方裁判所、申立人の住所又は居所を管轄する地方裁判所、亡履行が行われた場所を管轄する地方裁判所、いずれにも申立をすることができます。

2 申立書面
申立は書面により行う必要がある(DV防止法12条)。
申立書は地方裁判所のホームページからダウンロードすることができます。

申立書には、次の事項を記載します。

①配偶者からの身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫を受けた状況

②配偶者からの更なる身体に対する暴力又は配偶者からの生命等に対する脅迫を受けた後の配偶者から受ける身体に対する暴力により、生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいと認めるに足りる申立ての時における事情

③子への接見禁止命令の申立てをする場合にあっては、被害者が当該同居している子に関して配偶者と面会することを余儀なくされることを防止するため当該命令を発する必要があると認めるに足りる申立ての時における事情

④親族等への接見禁止命令の申立てをする場合にあっては、被害者が当該親族等に関して配偶者と面会することを余儀なくされることを防止するため当該命令を発する必要があると認めるに足りる申立ての時における事情

⑤配偶者暴力相談支援センターの職員又は警察職員に対し、前各号に掲げる事項について相談し、又は援助若しくは保護を求めた事実の有無及びその事実があるときは、次に掲げる事項

イ 当該配偶者暴力相談支援センター又は当該警察職員の所属官署の名称
ロ 相談し、又は援助若しくは保護を求めた日時及び場所
ハ 相談又は求めた援助若しくは保護の内容
ニ 相談又は申立人の求めに対して執られた措置の内容

申立書は相手方が閲覧・謄写(コピー)できるので、現在の住所を秘匿している場合、住所等は従前の住所等を記載するなどに留意しなければなりません。

3 提出資料
けがの診断書、写真等、申立の事情を裏付ける資料を提出します。

4 審尋の開始
申立が受理されると速やかに申立人への審尋が開始されます(DV防止法13条)。

その後、申立書の写し等が相手方に送付され、一般的には1週間から10日程度で相手方の審尋が行われます。

保護命令が言い渡される場合は、相手方が審尋期日に出頭したその場で言い渡され効力が生じます。
相手方が出頭しない場合、決定書が相手方に送達されることで効力が生じます。

 

DV防止法による保護命令3・保護命令の種類

1 被害者への接近禁止命令(DV防止法10条1項1号)

命令の効力が生じた日から起算して6カ月間、被害者の住居(当該配偶者と共に生活の本拠としている住居を除く。以下この号において同じ。)その他の場所において被害者の身辺につきまとい、又は被害者の住居、勤務先その他その通常所在する場所の付近をはいかいしてはならないこと。

被害者の身辺への「つきまとい」、被害者の住居、勤務先や通常存在する場所での「はいかい」を禁止する命令で、有効期限は6カ月、再度の申立もできる。


2 退去命令(DV防止法10条1項2号)

命令の効力が生じた日から起算して2か月間、被害者と共に生活の本拠としている住居から退去すること及び当該住居の付近をはいかいしてはならないこと。

同居している住居からの「退去」及びその住居付近での「はいかい」を禁止する命令で、やむを得ない場合は再度の申立もできる。


3 電話等禁止命令(DV防止法10条2項)

前項本文に規定する場合において、同項第1号の規定による命令を発する裁判所又は発した裁判所は、被害者の申立てにより、その生命又は身体に危害が加えられることを防止するため、当該配偶者に対し、命令の効力が生じた日以後、同号の規定による命令の効力が生じた日から起算して6月を経過する日までの間、被害者に対して次の各号に掲げるいずれの行為もしてはならないことを命ずるものとする。

  1. 面会を要求すること。
  2. その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
  3. 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
  4. 電話をかけて何も告げず、又は緊急やむを得ない場合を除き、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールを送信すること。
  5. 緊急やむを得ない場合を除き、午後10時から午前6時までの間に、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、又は電子メールを送信すること。
  6. 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
  7. その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
  8. その性的羞恥心を害する事項を告げ、若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付し、若しくはその知り得る状態に置くこと。

接近禁止命令と異なり被害者の子や親族は対象とならない。
また、電話等禁止命令は付随的な申立のため、有効期間は被害者への接近禁止命令の有効期間が満了する日までとなる。


4 子への接近禁止命令(DV防止法10条3項)

第1項本文に規定する場合において、被害者がその成年に達しない子と同居しているときであって、配偶者が幼年の子を連れ戻すと疑うに足りる言動を行っていることその他の事情があることから被害者がその同居している子に関して配偶者と面会することを余儀なくされることを防止するため必要があると認めるときは、第1項第1号の規定による命令を発する裁判所又は発した裁判所は、被害者の申立てにより、その生命又は身体に危害が加えられることを防止するため、当該配偶者に対し、命令の効力が生じた日以後、同号の規定による命令の効力が生じた日から起算して6月を経過する日までの間、当該子の住居、就学する学校その他の場所において当該子の身辺につきまとい、又は当該子の住居、就学する学校その他その通常所在する場所の付近をはいかいしてはならないことを命ずるものとする。
ただし、当該子が15歳以上であるときは、その同意がある場合に限る。

加害者が被害者の同居する未成年の子を連れ戻すと疑うに足りる言動を行っている場合、未成年者の子に対しても接近禁止命令を出すことができる。
但し、対象となる子が15歳以上の場合は、書面による子の同意が必要となる。


5 親族等への接近禁止命令(DV防止法10条4項)

第1項本文に規定する場合において、配偶者が被害者の親族その他被害者と社会生活において密接な関係を有する者の住居に押し掛けて著しく粗野又は乱暴な言動を行っていることその他の事情があることから被害者がその親族等に関して配偶者と面会することを余儀なくされることを防止するため必要があると認めるときは、第1項第1号の規定による命令を発する裁判所又は発した裁判所は、被害者の申立てにより、その生命又は身体に危害が加えられることを防止するため、当該配偶者に対し、命令の効力が生じた日以後、同号の規定による命令の効力が生じた日から起算して6月を経過する日までの間、当該親族等の住居その他の場所において当該親族等の身辺につきまとい、又は当該親族等の住居、勤務先その他その通常所在する場所の付近をはいかいしてはならないことを命ずるものとする。

加害者が被害者の親族、密接な関係を有する者の住宅に押し掛けて著しく粗野又は乱暴な言動を行っている場合、被害者の親族等についても接近禁止命令を出すことができる。

(保護命令に違反した場合)
保護命令に違反した場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処される(DV防止法10条・29条)。