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未払(不払・サービス)残業代〈京都弁護士会弁護士による労働問題の法律相談〉

 

未払(不払・サービス)残業代について弁護士法人オールワン法律会計事務所(京都弁護士会)の弁護士(京都弁護士会)が解説します。

 

1 残業代の計算方法

 

月給制で働く従業員の残業代は、以下のとおり、所定賃金を月間所定労働時間で除して求めた金額に次の割増率を乗じて計算します。

 

【残業代】 = [所定賃金] / [月間所定労働時間] × [割増率]

 

[割増率]

 

時間外労働 25%以上

ただし、時間外労働が1ヶ月60時間を超えた場合、超えた時間分については割増率50%以上(※1)

 

休日労働  35%以上

深夜労働  25%以上

 

注)

時間外・休日労働が深夜に及んだ場合等は、合計した割増率で残業代を求めます。

例えば、休日労働が深夜に及ぶ場合の割増率は60%以上(35%+25%)となります。

 

※1 中小企業については、平成25年4月1日以降に割増率が検討されます。

 

2 残業代支払の対象となる残業

 

使用者からの残業命令に従って従業員が残業を行った場合は、当該労働は残業代支払の対象となります。

 

使用者から残業命令の明示がない場合も、使用者側で従業員の残業を認識していれば、当該労働が残業代支払の対象とされる場合があります。

 

使用者が残業を禁止する命令を出していたにもかかわらず、従業員がこれに反して残業していた場合は、当該労働は原則として残業代支払の対象とはなりません。

 

しかしながら、この場合も、従業員の業務内容が残業しなければ処理できない程度にもかかわらず、使用者が残業を一方的に禁止する等、使用者の残業禁止命令が不合理な場合は、残業代の支払いが必要となる場合もありますので注意が必要です。

 

3 固定残業制が認められるか

 

使用者が、従業員の実際の残業の有無・時間の長短にかかわらず、定額の残業代を支払う固定残業制を導入すること自体は、労働法上、何ら問題はありません。

 

しかし、固定残業制が規定上設けられている場合でも、その導入に問題があるケースがあります。

 

たとえば、固定残業制が設けられている場合でも、実際の残業代が、当該定額の残業代を超える場合は、使用者は、その差額を支払う必要があります。

 

その支払いについて合意されていない場合は、固定残業制は無効です。

 

また、基本給のうち、割増賃金にあたる部分が明確に区分されて合意されていない場合も固定残業制は無効となります。

 

固定残業制が無効と判断されると、別途割増賃金を支払う必要があるので、固定残業制を導入する場合は、注意が必要です。

 

4 営業手当と残業手当

 

営業職の従業員に対して、残業手当の趣旨を含意した一定の営業手当を支払うことで、別途残業手当を支払わない給与体系を採用している会社があります。

 

営業職の場合、使用者が従業員の勤務実態を把握することが困難なため、実際の残業の有無にかかわらず一定の手当を支給することで、実際の勤怠管理にかかるコストを削減することが可能となります。

 

しかし営業手当を支給する場合も、当然ながら実際の残業が営業手当でカバーされる部分を超過する場合には、当該超過部分に対して残業手当の支払いが必要となります。

 

5 管理監督者に対する残業代の支払

 

労働基準法に拠れば、従業員が管理監督者にあたる場合は、労働時間・休憩・休日に関する規定の適用を受けない結果、使用者は当該従業員に対する残業代を支払う必要はありません(第41条第2号)。

 

これは、管理監督者は、使用者と一体的な立場にあり、自ら労働時間に対する裁量権を有すると考えられるため、労働基準法の規制になじまないと考えられているためです。

 

このような法の趣旨からすれば、管理監督者にあたるか否かは、単なる地位の名称で判断されるものではなく、当該従業員の権限・業務内容に照らして判断されることになります。

 

具体的には

 

・職務の内容・権限・責任

・出退社等についての自由度

・その地位にふさわしい処遇(昭和63.3.14基発150号※2

 

といった基準で判断されることになります。

 

実際に、これらの基準に照らし、「店長」といった社会的地位を与えられた従業員が管理監督者にあたらないと判断された裁判例もあります(東京地裁平成20年1月28日 日本マクドナルド割増賃金請求事件)。

 

したがって、単に「店長」や「工場長」といった社内的地位を与えられた従業員であっても、管理監督者にあたらないと判断されると、さかのぼって残業代を支払う必要が出てきますので注意が必要です。

 

※2 基発:(厚生)労働省労働基準局長から各都道府県労働局長宛の通達

 

6 残業代の支払に代えた有給休暇の取得

 

事業場で労使協定を締結すれば、1ヶ月に60時間を超える時間外労働を行った労働者(割増率50%以上)に対して、25%以上分の割増賃金の支払に代えて、有給の休暇を付与することができます。

 

このような労使協定を締結し、労働者が有給休暇を取得した場合も、残部(25%)については残業代を支払う必要があります。

 

また、労働者が有給休暇を取得しなかった場合は、50%以上の割増率での残業代を支払う必要があります。

 

【ご留意ください!】

 

本解説は、未払(不払・サービス)残業代の基本的な考え方を示すものです。具体的な労働問題の解決にあたっては、弁護士等の専門家にご相談いただくようお願いします。

 

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