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会社の指揮命令権の限界〈京都弁護士会弁護士による労働問題の法律相談〉

 

労働問題における会社の指揮命令権の限界について弁護士法人オールワン法律会計事務所(京都弁護士会)の弁護士(京都弁護士会)が解説します。

 

会社の労働者に対する指揮命令権には一定の制約があります。

 

仕事と全く無関係な業務命令や、著しく過酷な業務に従事せよとの業務命令などは、違法と判断される場合もあり得ます。

 

では、どのような場合に業務命令が違法と判断されるのでしょうか。

 

この問題に関しては、次の裁判例が参考になります。

 

組合員バッジを外すよう求めたにもかかわらず、それに従わなかった労働者(駅員)に対して、通常業務から外し、営業所構内に降り積もった火山灰を除去する作業(降灰除去作業)に従事すべき旨の業務命令を発したという事案があります。

 

この事案において、裁判所は、降灰除去作業は職場環境を整備するために必要な作業であること、作業内容・方法等からして社会通念上相当な程度を超える過酷な業務には当たらないこと、労働者に対して不利益を課すという目的で行われたものとはいえないこと、を理由に、業務命令を適法としました(最判平成5年6月11日)。

 

労働組合のマーク入りベルトを着用して就労していた労働者を、一室に長時間閉じ込めて、就業規則の書き写しを命じたという事案において、裁判所は、肉体的・精神的苦痛を与える業務命令であるといえること、合理的教育的意義を認めがたく、必要性が見出し難いこと、懲罰的目的からなされたものと推認せざるを得ないことなどの理由から、業務命令を違法と判断しました(最判平成8年2月23日)。

 

ハイヤー運転手に対して、口ひげを剃るようにという業務命令を出した事案において、裁判所は、口ひげをはやして勤務したことにより会社の円滑かつ健全な企業経営が阻害される現実的な危険が生じていたと認めることは困難であるとして、会社からの業務命令に従う必要はなかったと判断しています(東京地判昭和55年12月15日)。

 

トラック運転手が、髪の毛を黄色に染めて勤務した事案において、裁判所は「労働者の髪の色・型、容姿、服装などといった人の人格や自由に関する事柄について、…具体的な制限行為の内容は、制限の必要性、合理性、手段方法としての相当性を欠くことのないよう特段の配慮が要請されている」として、髪の毛を染め直すようにとの業務命令に従わないことは、解雇事由には該当しないと判断しました(福岡地小倉支決平成9年12月25日)。

 

これらの裁判例を参考にすると、業務命令の適法性は、

 

➀   業務命令の内容(業務命令によって労働者が被る不利益)

 

➁   業務命令を出す必要性

 

➂   業務命令を出す目的

 

などの事情を考慮して判断されるものと言えます。

 

例えば、奇異な髪型をしているホテルのフロントマンに対して髪を切るよう命じたという事例で考えると、次のような検討がなされるものと言えます。

 

➀フロントマンの私生活上の自由に踏み込むものであり、本人の精神的苦痛は大きいのではないか。

 

一方で、

 

➁客と接するフロントマンである以上、奇異な髪型を改善する必要性は高いのではないか。

 

➂ホテルの信頼確保などを目的として出された命令なのか、あるいは当該フロントマンに対する嫌がらせの目的で出された命令なのか。

 

このような検討がなされます。

 

【ご留意ください!】

 

本解説は、会社が発する指揮命令権について基本的な考え方を示すものです。具体的な労働問題の解決にあたっては弁護士等の専門家にご相談いただくようお願いします。

 

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